財務分析の基本は財務諸表の見方を理解すること

企業の株式に投資する場合も社債を買う場合も、その意思決定の基礎となるのが財務諸表です。

財務諸表は、企業の一定時点の財政状態を表した貸借対照表、一定期間の経営成績を表した損益計算書、一定期間のキャッシュ・フローの状況を表したキャッシュ・フロー計算書から構成されています。特に重要となるのが、貸借対照表と損益計算書です。

ある会社の株式に投資しようとする場合、その会社の株価がどのくらいの水準にあるのが妥当かを計算できなければなりません。株価は、その会社の純資産を発行済み株式総数で割った一株当たり純資産を基にして決まります。現在の株価が一株当たり純資産と乖離している場合、なぜ、両者の間に差があるのかを分析しなければなりません。

株価は、一株当たり純資産を基礎にして決定されますが、それだけでなく、将来の収益性も折り込まれています。今後、会社の業績が好調に推移するのか、それとも低迷するのかによって、一株当たり純資産に調整される要素は異なってきます。

今後も業績が好調であれば、現在の一株当たり純資産よりも株価は大幅に高くなります。しかし、その会社に将来性がないと予測される場合には、現在の一株当たり純資産よりも株価はそれほど高くならないでしょう。

このように現在の株価を計算する基礎となる一株当たり純資産は貸借対照表を見れば計算できますし、将来の業績を予測する基礎となる情報は損益計算書を見れば把握できます。だから、株式に投資する場合も社債を買う場合も、財務諸表の見方を理解し財務分析できる能力を身につけることが大切なのです。

目次

  1. 財務分析の基本は財務諸表の見方を理解すること
  2. 貸借対照表の見方
    1. 資産と負債の区分表示
    2. 純資産の表示
  3. 損益計算書の見方
  4. キャッシュ・フロー計算書の見方
  5. 関係比率による財務諸表分析
    1. 静態比率による財務諸表分析
    2. 動態比率による財務諸表分析