株式投資の成功者の体験談を読んだことがある方は多いと思います。インターネット上のブログやウェブサイト、雑誌の特集記事など、株式投資の成功体験はいろんなところで読むことができますね。
多くの場合、株式投資での成功体験は、いくらで買っていくらで売り、差額でどれだけ利益が出たかが述べられています。当たり前のことだと思うでしょうが、このような体験談には違和感を感じなければなりません。
短期投資での成功体験ばかり
いくらで買っていくらで売り、差額でどれだけ利益が出たかを述べている体験談は、基本的に短期投資での成功体験です。
ITバブルの崩壊時に安くで株を買い日経平均が少し回復してきたところで売却して儲けたとか、リーマンショックで投げ売りされていた優良株を取得し株価が少し回復したところで利益を確定させたとか、そのような体験談が多いです。
ITバブルの崩壊もリーマンショックも、本業に関係のない上場会社はたくさんあったはずです。それでも、このようなネガティブな情報が市場に流れると無関係な会社の株式も売られることがあります。
株式投資での成功体験の多くが、大きな市場の動きに短期的に対応して利益を出したものなので、長期投資をしている投資家にとっては全くと言っていいほど役に立たない体験談です。とは言え、短期的に大きな利益を上げた投資家の存在を知ると、自分もやってみたくなります。成功者が、あまり知識がなさそうに見えるのも、短期投資に走りたくなる理由ですね。
含み益がいくらになっているのかを意識する
株式の長期投資においては、そうそう保有株式を売却しないので、利益確定の機会は多くありません。
株式投資の成功体験の多くが利益を確定した投資家の話なので、株式投資での成功を利益の確定だと思いがちです。長期投資家も、現在、株式を売却すれば、いくらの利益になるかをざっくりと計算することは可能です。いわゆる含み益ですね。長期投資が上手くいっているかどうかは、含み益がどれだけあるのかをひとつの指標にして検証します。
しかし、含み益も、短期的な株価の変動の影響を受けます。だから、含み益が多いか少ないかも短期的な指標と言えるでしょう。
株式の長期投資は、銀行にコツコツとお金を預けるのと似ています。着実に預金残高を増やしていくのと同じように株式投資もポートフォリオ全体の価値を大きくしていくことを目標にした方が良いでしょう。このような考え方をすれば、毎月、いくらかでも株式に投資して行けば、ポートフォリオ全体の価値は増えていきます。元本が大きく目減りした銘柄がポートフォリオに含まれていると話は別ですが、少しくらいの株価の下落であれば、他の銘柄の株価の上昇と相殺できるので、ポートフォリオ全体の価値はじわじわと高まっていくはずです。
株式の長期投資は、積立預金と同じようなものです。すぐに引き出す預金ではなく長期的に資産を増やすのが積立預金の目的です。株式の長期投資も、長い期間をかけてコツコツと財産を増やしていくことなので、短期的に利益を確定した成功者の話はあまり役に立ちません。