資産を預貯金で持っていても大した利息が付かないから、資金を株式や債券に投資した方が有利だと言われます。これは、その通りです。預貯金は元本を失う危険性が極めて低い代わりに期待収益率が低い投資対象です。
一方、株式は元本が目減りする危険性が高いので、預貯金よりも期待収益率が高くなります。債券も預貯金よりリスクがあるので、期待収益率は高くなります。しかし、期待収益率ばかりに目が行くと、リスクの高い投資に手を出し元本を毀損してしまうことがあります。
常に万が一のことを考えておく
投資に限らず、万が一に備えておくことは大切です。自然災害に備えて食料を備蓄しておくのと同じように資産運用でも、持てる資金の全てを株式、債券、不動産など元本が目減りする危険性がある資産で持つべきではありません。
どんなに調子が良い時でも、ある時、相場が自分にとって不利に動き損をすることもあります。そのような事態が発生しても、生活が破綻しないくらいの資金は預貯金で持っておいた方が良いでしょう。
医療保険や損害保険が怪我、病気、事故による損失に備えるのと同じように預貯金は投資の失敗で発生する損失に備えるものだと考えるのです。
預貯金は万能の保険
医療保険でも損害保険でも、ある条件を満たした場合でなければ保険金を受け取れません。保険に加入する前には思いもよらなかった不慮の事故に巻き込まれることもあります。そして、その事故に対する補償を付けていなかった場合には、その損失は自分自身が負担しなければなりません。
もしも、預貯金が不足していれば、借金をしなければならないでしょう。そうなると、金利を支払わなければなりませんから、余分な支出が発生します。
株式投資でも不動産投資でも、うまくいってるときは、お金を銀行に預けておくのがばからしく感じるものです。しかし、思いもよらない損失が発生する事象は誰にでも起こり得るのですから、保険をかける意味でも、いくらかの資金は預貯金で持っておいた方が安心です。