個人の投資は資産を積み上げること。運用益を気にし過ぎると資産の目減りもあり得る。

投資という言葉には、多額の資金を使って大きな利益を上げるイメージがあります。確かに企業が行う設備投資などは、巨額の支出となることがありますが、これをそのまま個人の投資に当てはめて考える必要はありません。

個人の投資は、ほとんどの場合、資産形成です。資産形成では、昨日よりも今日、今日よりも明日の方が、自分の資産が増えていることが大切です。

大きな運用益を狙う必要はない

昨日よりも今日の方が、資産が増えている状態にするだけなら誰でも簡単にできます。毎日、貯金箱に500円玉を入れていくだけでも確実に資産が増えていきます。

投資と聞くと、元手を回収するのはもちろんのこと、それに利益が上乗せされなければならないと考えがちです。しかも、利益は、投下資本の何%と事前に決め、その利益率を達成しなければならないと思うことでしょう。

投資が自分の仕事なら、生活費を稼がなければなりませんから、1日に1万円くらいの運用益を確定させなければなりません。しかし、他に仕事をしていて、投資を資産の構築のためと考える一般的な個人投資家にとっては、1日に1万円の運用益を稼ぐ必要はありません。

預貯金で投資資金を積み上げる

株式でも債券でも、ある程度まとまった資金がないと、安全に投資するのは難しいです。

投資では、資金を複数銘柄に分散することでリスクを軽減できますが、少額の投資資金では分散投資をしたくてもできません。分散投資をするための資金は、コツコツと預貯金で積み上げていくことが大切です。

低金利時代に銀行にお金を預けるのは無駄だと言われますが、だからと言って、少額の資金を株式や債券に投資するのは資産の目減りの危険性が高まります。ましてやFXのような投機に手を出すと、元本がゼロになることさえあります。

資金に乏しい個人投資家は、コツコツと預貯金を増やしていくことが重要です。そして、まとまった資金ができた時に株式でも債券でも不動産でも分散投資すればいいのです。

個人投資家にとって、お金を稼ぐ手段は投資以外の仕事です。仕事で稼いだお金の一部を貯めて、まとまった資金ができたら投資をするのが、個人投資家の本来の姿です。