投資対象の価値を担保するもの

何に投資するにしても、投資の目的は今よりも資産を増やすことにあります。そして、なぜそれに投資をするのかと聞かれれば、その投資対象に価値があるからと答えると思います。

では、投資対象に価値があるとはどういうことかと問われて自分の言葉でうまく説明できるでしょうか?

投資対象の価値とは

投資対象の価値は、それに投資した金額で決まると答える人が多いと思いますが、売却時に投資額と同額かそれ以上で売れる保証はありません。しかし、投資対象が時価で取引されているのであれば、取得した時に支出した金額が投資対象の価値となると考えることは間違いとは言えません。

ただ、この考え方は投資対象の表面的な部分しか見ていません。

例えば、自動車メーカーの株式を取得したとします。なぜ、その自動車メーカーの株式を取得したのかと問われて、将来値上がりが期待できるからとしか答えられないのでは、投資対象の価値を理解しているとは言えません。

株式であれば、財務諸表を見て一株当たり純資産と株価との比較で投資価値があるかどうかを判断することができます。しかし、これも、やはりその自動車メーカーの表面的なところしか見ていないと言えます。

もっと本質的な部分を見ないと、投資対象の価値はわかりません。

自動車メーカーであれば、自動車を製造する能力があることが大前提であり、これがその自動車メーカーの価値なのです。しかし、ただ自動車を造れるだけでは、その価値は高くありません。自動車を生産したとしても販売できなければ収益を生み出せませんから、販路を持っていることも価値を決める基準となります。また、自動車を生産するためには原材料や部品を安定的に仕入れることができなければなりませんから、原材料や部品の仕入先を確保していることも大事です。

他に自動車についての専門能力を持った従業員や代理店網を広げていくための営業力も、その自動車メーカーの価値を決める指標となります。

つまり、自動車メーカーの株式が投資対象として持っている価値とは、その自動車メーカーに自動車を生産する能力が備わり、かつ安定的に販売できる状態を維持していることと言えます。そして、これこそが、その自動車メーカーの株式価値を担保するものなのです。

価値を担保していないものに投資するのは危険

このことが理解できていれば、世の中に数ある投資対象から、価値がしっかりと担保されている投資対象を選ぶことができるはずです。

しかし、そうは言っても、価値が上がるかどうかを予測するのは難しいことです。ただ、価値を担保していないものに投資をすると、ある時、投資対象が何らの価値も持たなくなる事態が発生しやすいことを容易に理解できるはずです。

例えば、仮想通貨はどうでしょうか。

仮想通貨の価値を担保するものなんですか?

現在、取引されている仮想通貨は、時価が需要と供給のみで決まっていますよね。需要が無くなれば価値も無くなるのが仮想通貨です。今は、仮想通貨に投資している投資家が、仮想通貨に価値があると思っているから高値で取引されています。しかし、ある時、多くの投資家が仮想通貨に飽きてしまえば、仮想通貨の時価は暴落します。

自動車メーカーの株式であれば、株価が下がっても、製造能力や販売力が衰えていなければ株式の価値がゼロになることはありません。でも、仮想通貨は、その価値を担保するものが何もないので、人気が無くなれば価値も無くなります。

どんなものに投資するにしても、投資対象の価値を担保しているものは何かを常に考えないといけませんね。