投資信託で安全に資産形成できるか?

確実に資産形成していくためには、安全性を追求した投資をすべきです。最も安全な投資先は預貯金ですから、まずは預貯金でコツコツと資金を貯めることから始めましょう。

そして、ある程度の資金ができたところで、預貯金よりもリスクはあるものの利回りが良い投資先を探します。しかし、この場合でも、資産が大幅に目減りする危険がある対象には投資すべきではありません。

預貯金の次に安全性が高いと言われているのが投資信託です。でも、投資信託は本当に安全性が高いのでしょうか?

投資信託は分散投資できる

投資信託は、金融機関が株式、債券、不動産など複数の対象に投資し、それを1つのパッケージとして販売する金融商品です。例えば、A社、B社、C社、D社、E社の5社の株式に1万株ずつを投資し、それを10万口や100万口といった形で細分化して顧客に販売するのが投資信託です。

個人投資家にとっては、5社の株式を1株ずつ買ったとしても高額な投資になりますが、投資信託であれば少額で5社すべての株式に投資できる利点があります。株式は、1株に大きく投資すると、ある時、その株式が大幅に値下がりした場合に大きな損失を出してしまうので、複数の株式に分散投資すべきです。

投資信託は、少額の資金で分散投資できることから、特定の株式に一極集中投資するよりも安全と言えます。これが、投資信託のメリットです。

投資信託は他人任せの投資

しかし、投資信託は、金融機関が選んだ銘柄を組み合わせてパッケージ化しているので、顧客が組み合わせる銘柄を選べません。例えるなら、飲食店でAランチやBランチを注文するようなものです。AランチもBランチもお店側が選んだ食材を使って調理したものですから、客側が中身を選択できません。

一方の株式や債券への投資は、自分でどの会社の株式や債券に投資するかを選べます。飲食店で例えると、牛肉のステーキ、マグロのお造り、海鮮サラダといった一品料理を自分で選んで注文するようなものです。

AランチもBランチも飲食店側が選んだ食材を使っているのと同じように投資信託も金融機関が選んだ株式に投資することになります。つまり、投資対象の選定は他人任せなのです。しかも、投資信託に組み込まれている銘柄を顧客は詳しく知ることはできません。「○○日本株ファンド」などという名称になっていますが、日本国内のどの企業の株式が組み込まれた投資信託なのかはわからないのです。

投資信託を買うことは、その投資信託を販売している金融機関を信じて買う行為です。金融機関を信頼できるのなら投資信託を買えば良いでしょうが、会ったこともない人が自分の資金を運用していることは理解しておかなければなりません。

果たして、他人任せの投資が安全だと言えるでしょうか?

投資信託は、それ相応のメリットがなければ、あまり魅力的な金融商品ではありません。もしも、投資信託を買うのであれば、個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入して、税制上の優遇を受けるようにしましょう。