資産運用の選択肢は、預貯金、株式、債券、不動産などいくつもあります。また、株式、債券、不動産には、投資信託を買うことでも投資可能です。
投資信託は、金融機関が、株式、債券、不動産など複数の銘柄に投資したパッケージ商品のようなもので、投資家は少額から投資信託を買うことができます。そのため、投資信託は、資産運用を始めたばかりの人が少ない元手で買えるメリットがあります。
しかし、投資信託は自分の資産運用を他人に任せることになるのでおすすめできません。ただ、個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入した場合は、投資信託を買うメリットがたくさんありますから、iDeCoの加入を条件に投資信託を買うのはありだと思います。
iDeCoは税制面の優遇を受けられる
iDeCoに加入する最も大きなメリットは、普通に資産運用する場合と比べて、多くの節税メリットがあることです。
毎月コツコツと、5,000円ずつや10,000円ずつ投資信託を買う場合は、なんらの節税メリットもありません。でも、iDeCoに加入してから投資信託を買うと、その購入金額が所得控除の対象となります。年間60,000円を投資した場合、60,000円を所得から差し引くことができます。
また、投資信託は売却した場合、運用益の20%が税金として持って行かれますが、iDeCoに加入している場合は、売却益が非課税になります。
さらに将来、iDeCoに加入していると、年金を受け取る際にも税金が優遇されます。
詳しい節税メリットは、以下の記事で説明していますが、要は普通に投資信託を買えば節税メリットは何もないけど、iDeCoに加入すると様々な税制上の優遇を受けられるので、同じ投資信託を買うならiDeCoに加入してからがおすすめなのです。
各種手数料が優遇されている
投資信託で資産運用をする場合、購入手数料、信託報酬、信託財産留保額という3つの手数料が発生します。
購入手数料は、投資信託を購入する際にかかる手数料です。
信託報酬は、投資信託を保有している間、ずっと払い続ける手数料です。
信託財産留保額は、投資信託の解約時にかかる手数料です。
つまり、投資信託は、買う時、保有中、売る時のいずれの場面でも金融機関に手数料を支払わなければならないのです。この点も、投資信託で資産運用をすべきではない理由です。
でも、iDeCoに加入している場合、普通に投資信託で資産運用するよりも、手数料が優遇されています。
購入手数料は、iDeCoではかかりません。
信託報酬は、iDeCoでは通常の投資信託よりも低くなっています。
信託財産留保額は、iDeCoではかからないことが多いです。
購入手数料と信託財産留保額は、投資信託を買う時と売る時に1回ずつしかかかりませんから長期保有であれば大した負担にはなりません。
しかし、信託報酬は投資信託で掛金を運用している間は、ずっと発生し続けます。だから、iDeCoに加入するかどうかで、信託報酬の負担額が大きく変わってきます。
投資信託はインデックス型が無難
投資信託の運用方法には、日経平均や東証株価指数(TOPIX)など特定の指数や指標と同じ値動きを目指すパッシブ運用(インデックス型)と特定の指数や指標を上回る成果を目指すアクティブ運用があります。
信託報酬は、パッシブ運用の方がアクティブ運用よりも安くなっています。この点から、パッシブ運用をおすすめしますが、他にもパッシブ運用をおすすめする理由があります。
それは、冒頭でも述べましたが、投資信託は資産運用を他人任せにする金融商品だからです。
投資信託を買う際、参考資料となるのは、その金融機関が扱っている銘柄の過去の運用成果くらいしかありません。過去の運用成果が良好なら安心と言えなくもありませんが、自分の大切な財産を誰が運用するのかわからない銘柄に託すべきではありません。
それなら、日経平均やTOPIXと連動するインデックス型の方が、機械的に掛金の運用が行われるので無難です。もちろん、投資信託には値動きがありますが、インデックス型だから、必ず資産が増えるわけではありません。
しかし、インデックス型であれば、どの金融機関の投資信託を買おうが、同じような投資成果を期待できるので、運用するのが誰かといったことは、それほど重要ではなくなります。
老後資金を確保するために投資信託で資産運用しているのなら、iDeCoに加入しましょう。iDeCoの掛金上限額を超えても、なお多くの老後資金を作りたい場合は、普通に投資信託を買うのもありですが、それなら、株式投資も検討した方が良いでしょう。