事業を始めると、資金が必要になります。個人事業なのか会社を設立するのかによって必要な資金は変わってきますが、店舗を構えたり、設備を揃えたりするためには多額の資金がなければなりません。
初期投資額を回収するためには事業を継続する必要があります。どれくらいの期間、事業を継続すれば初期投資額を回収できるかは、投資額や事業の利益率などに左右されますが、数ヶ月や1年程度では全額回収するのはほぼ不可能です。
金融商品への投資はすぐに回収できると考えがち
株式や外貨預金などの金融商品に投資をする人は、短期間に投資額を回収できると考えがちです。預金や債券の場合は、確かに短期間で元本を回収し利息を得ることはできます。
しかし、株式や投資信託の場合には、そうそう短期間に投資額を回収できないことの方が多いと考えるべきです。
特に株式は、会社の出資者となるのですから、出資した会社が軌道に乗って業績が良くならないことには、利益を得るどころか投資額も回収できないと思わなければなりません。ところが、株式取引は、インターネットに接続できれば簡単に売買できるので、すぐに投資額を回収できると思いがちです。投資信託も同じですね。
企業が利益を出すまでは投資額の回収に時間がかかる
会社の設立時に株式を引受けた場合には、その会社が安定的に利益を上げて、配当金を受け取れるようになるまでは投資額の回収はできません。赤字続きで倒産すれば、1円も回収できないこともあります。
これはすぐにわかることなのですが、公開会社の株式を誰でもインターネットで簡単に買えると、会社の業績と株価は別物だと思い込むようになります。業績が悪くても株価が上がる場合もありますし、業績が良くても株価が下がる場合もあるからです。
また、すぐに売ったり買ったりできるのも、投資額の回収に時間がかからないと思う理由の一つです。今買った株式を数分後に売り注文を出せば、買った時の株価とほぼ同額で売却できますから投資の回収に時間がかからないのは事実です。
公開会社は、設立されてから長い年月事業を行い経営を安定させていますから、すでに利益を上げて初期投資額を回収しているはずです。しかし、初期投資額を回収するのには、多くの場合長い年月がかかっているものです。
インターネットで株式取引をしている個人投資家は、安定した経営をしている会社の株式だけを売買できる環境にあるので、初期投資額の回収に時間がかかることを理解できないことが多いです。
だから、短期売買を繰り返す個人投資家が多く、長期的に資産形成しようとする視点が抜けているのです。