株式、債券、不動産、投資信託、為替など、現在は多くの投資対象があります。
これらの投資対象は、基本的に元本が保証されていないので、利益を生むこともあれば損失が発生することもあります。だから、投資する際は、投資対象についてより多くの情報を入手し、利益を生む確率が高く、損失が発生する確率が低いものを選ばないと投資で成功することはできません。
しかし、どんなに多くの情報を入手できても、必ずしも利益を得られるとは限りません。
競馬は情報が豊富だが勝ち続けるのは難しい
例えば、株式であれば四半期ごとに企業の決算が報告されるので、割と投資判断に役立つ情報を得やすいと言えます。新聞やテレビのニュースも活用すれば、公開会社の業績に関連する情報をより多く入手できます。
株式投資で成功するためには、企業の財務諸表を読み込むことが大事ですし、業界情報に精通することも必要です。でも、同じように財務諸表を読み込む力があり、同じようにマスコミの情報を入手していても、得する人と損する人は出てきます。
これは、競馬で例えるとわかりやすいです。
競馬は、レースで勝つ馬を当てれば配当がもらえる公営ギャンブルです。馬券の予想に必要な情報は競馬新聞から得られますし、インターネットやテレビでも競馬関連の情報を見ることができます。その情報量は、企業の有価証券報告書とは比べ物にならないほど多いです。
しかし、馬券で利益を出している人の割合は多くありません。馬券の払い戻し率が75%なので、100円買っても平均すると75円しか返ってこない計算です。仮に払い戻し率が100%だったとしても、馬券で損をしている人の数の方が多くなるのではないでしょうか。
自分が望む利益
出走する競走馬の過去のレース成績は、競馬新聞を見ればわかります。そして、そこから強い馬と弱い馬を選別し、今回のレースで勝つ確率の高そうな競走馬を見つけて馬券を買います。
しかし、誰もが強いと思う競走馬に賭けたところで、的中しても配当は少ないです。そのため、1番強い馬ではなく、配当が高くなる2番目、3番目に強い馬を選んで馬券を買う人が出てきます。でも、結果は1番強い馬の勝利。それ以外の馬に賭けた人は損をします。
競馬新聞を見れば1番強い競走馬を見つけることができます。しかし、配当が少ないという理由でその馬を買うのをやめる人がいるから、競馬は成り立つと言えるでしょう。どんなに強い馬でも実力を出せずに負けることがありますから、それに期待して弱い馬に賭け損する人もいると思います。
投資に必要な情報が豊富にあっても損をする人がいるのは、競馬と同じです。自分が望む利益を得られそうになければ、どんなに将来有望な銘柄であっても投資したくないものです。元本を2倍にしたいと思っている投資家は、リスクがあっても、うまく行った時に元本が2倍になる投資対象を選びます。
欲が投資判断を狂わせる
どんなに投資判断に役立つ情報を多く入手できても、欲に負ければ投資に失敗しやすくなります。利益が少なくても成功する確率の高い投資対象を選ぶのが、安全に資産形成するためには大切です。
資金に余裕があるのなら、少々リスクが高い銘柄に投資するのもありですが、絶対に損をしたくないと思っている方は、リスクのある投資案件に投資するのは慎重でなければなりません。
預貯金では大した運用益を得られないという理由だけで、リスクの高い投資をするのはよくありません。まさにこの考え方が、欲に負けてリスクをとる行為なのです。
投資判断に欲が介入してきそうになった時は、できるだけ安全な投資対象を選ぶように意識を変えるのが無難です。また、リスクのある投資対象を選びたくなった時は、複数の銘柄に分散投資をしてリスクを減らすことを考えましょう。
どんなに安全だと思える投資対象でも、自分の分析力の未熟さから損することがありますし、予期しない自然災害などで損失が発生することもあります。将来は不確実だと、常に意識しておくことも投資には大切です。