短い期間に何度も売買を行う短期投資は、投資対象を評価して行っていません。そこにあるのは、市場に参加している投資家の心理を読むことだけです。
同じ銘柄の株式を1日に何度も売買することを考えれば簡単にわかると思います。
数時間で上場会社の収益性が変化することは滅多にない
例えば、3時間の間にある株式を5回買って5回売ったとします。
この3時間の間にその株式を発行している会社の収益性に変化があったでしょうか。おそらく、そんな短期間に企業の収益性に影響を与える事象は発生していないはずです。
大きな地震が起こったとか、政治的に重大な発表があったとか、そういうことがない限り、そうそう企業の収益性が変化するものではありません。それなのに3時間の間に5回も売買を繰り返すのは、企業の収益性をまったく投資判断の材料としていないと考えて良いでしょう。
市場参加者同士の心理戦
それでも短期投資をする人が後を絶たないのは、市場参加者同士の心理戦に勝って、ひと儲けしようと思っている投資家が多いからです。
株価が下がったタイミングで買い、上がったタイミングで売ることを繰り返せば利ザヤを稼げると思って投資をしているのでしょうが、そういう人たちは、姿の見えない他の投資家の心理を読みあっているだけで投資対象を一切評価していません。ただ、心理戦に勝利するかどうかだけです。
資産形成は勝ち負けの問題ではありません。しかし、短期投資を繰り返していると、市場参加者の中に勝者と敗者が生まれます。そして、自分が敗者になった時、大きく損することだってあることを理解していれば、短期投資は危険な行為だと気付くでしょう。