損切りの重要性はデイトレードのような短期売買を繰り返す個人投資家しか言わない

「株式投資で大切なことはいくつもありますが、最も重要なことは早い段階で損切りをすることです」

よく聞く言葉です。

損切りの重要性を主張している人たちはみな同じ思考をしています。その思考とは、取得した株式をすぐに売って利益を得ようとする思考です。つまり、短期投資を行っている人たちばかりが損切りの重要性を説いているのです。

株価が短期に大きく動いても企業には何の影響もない

当たり前のことですが、株価が上がろうが下がろうが、企業の売上が増えたり減ったりすることはありません。利益も同じですし、当然、純資産も株価の上下動と全く関係ありません。

なぜなら、株価は企業価値を反映したものだからです。

例えば、この3ヶ月の間に売上を前年同期と比較して50%増やした企業があったとします。売上が増えれば基本的に利益も増えますから、それに伴って純資産も増加します。したがって、純資産の増加という情報が市場に流れれば、その企業の株価は上がります。

しかし、株価が必ずしも企業価値を正しく反映するわけではありません。市場が過熱すれば過大評価されることがあるからです。でも、過大評価された株価は、いずれ修正されて妥当な水準に落ち着いてきます。株価が過小評価されている場合も同様です。

このような株価の調整で短期的に株価が大きく動いたからと言っても、株式市場と企業が活動している市場とは無関係なので、企業の業績に影響を与えることはありません。

株価の調整段階で売るのが損切り

短期投資は、株価の調整段階でも株式の売買を繰り返しています。

その株価の調整段階の値動きを見て株式を取得し、その後で株価が下がったから損切りをすることに合理的理由があるでしょうか?

財務諸表を分析して企業価値がどの程度かを把握して株式を取得しているのなら、株価が割安な時に買い注文を出しているはずです。そこから株価が下がろうが、企業価値はもっと高い水準にあるとわかっていれば損切りをする理由はありません。

損切りをするのは株価チャートだけを見て短期投資をしている個人投資家ばかりです。だから、損切りの重要性を主張している人も、デイトレーダーのような短期売買を頻繁に繰り返している個人投資家ばかりなのです。

長期投資を基本にしている投資家は、損切りがそれほど重要なことではないとわかっています。