株式投資で損切りの重要性ばかりを説く人は分散投資をしていない

株式取引だけでなく、事業においても損失はできるだけ少なくすることは大切なことです。うまくいかないと判断したら、早めに撤退することで傷を深めないで済みます。

だから、株式投資の世界では、損切りが重要だと言われています。しかし、株式投資の基本は分散投資です。分散投資は加重平均利益率を維持したままリスクを減らせますから、1銘柄に多額の資金を投じるよりも安全性を高めることができます。

バスケットでの運用

例えば、晴れた日に売上が増えるA社と雨の日に売上が増えるB社があったとします。晴れの日はA社の売上が増えてB社の売上が減り、雨の日はA社の売上が減ってB社の売上が増えるので、天候に関係なく、両者の売上合計に大きな変動が生じません。

投資家がリスクを減らそうと思うなら、A社の株式だけ、あるいはB社の株式だけに投資せず、両者の株式に同時に投資することが大切です。A社の株価が上がった時にはB社の株価が下がり、B社の株価が上がった時にはA社の株価が下がるといった値動きをしますが、どちらの場合でも両者の株価の合計額に大きな変動は生じません。

したがって、複数の銘柄を1つのバスケットに入れ、そのバスケット単位で運用すれば、加重平均利益率を維持したままリスクを減らすことができるのです。

損切りは分散投資をしていない証拠

損切りの重要性ばかりを述べている人は、おそらく、分散投資をしていません。なぜなら、分散投資をしていれば、バスケット単位で運用しているのですから、A社の株価が下がった場合にはB社の株価が上がっているので合計すれば損失が出ていないからです。

仮に損失が発生していたとしても、どちらかの株式だけを売却するのではなく、両方まとめて売却するはずです。

しかし、損切りを主張する人たちの話では、特定の銘柄の株価下落ばかりが述べられており、他の銘柄の株価上昇で損益を打ち消し合っていることは述べられていません。きっと、損切りを主張する人たちは分散投資をしていないのでしょう。

資産運用で安全性を重視するのならリスク分散を考えなければなりません。そして、リスク分散のためには、より多くの銘柄に少しずつ投資することが大切です。これは、株式投資の場合でも同じです。