少額の資金では分散投資できない

安全に資産形成しようと考えるなら、ひとつの投資対象に全ての財産を投資すべきではありません。

例えば、特定の銘柄の株式に全財産を投資すると、その銘柄の株価が下落すれば確実に資産が目減りします。また、下手をすると会社が倒産して、投下資本の大部分が消滅することもあります。だから、安全性を重視するのなら、複数の投資対象に分散投資して、1銘柄が値を下げても他の銘柄の値上がりで損益を相殺できるようにしておく必要があるのです。

分散投資にはまとまった資金が必要

しかし、分散投資をしようと思うと、まとまった資金を用意しなければなりません。

株価が10万円の株式10銘柄に分散投資をしようと思ったら100万円の資金が必要です。20銘柄、30銘柄と増やしていけば、さらに多くの資金が必要になります。

つまり、安全に資産形成をしようと思うと、どうしても運用に回す資金が多くなるのです。少額で安全に投資をしようと思っても、1銘柄しか取得できなければリスクを分散できないので安全性を高めることはできません。

若いうちに少額から投資を始めるべきか

投資は、若いうちから始めた方が有利だと言われています。残りの人生の長さを考慮すると、定年退職後よりも社会人になったばかりの頃から投資を始めた方が運用期間が長くなるので、得られるリターンが多くなるからです。

しかし、働き始めて間もないフレッシュマンが、分散投資できるだけのまとまった資金を用意するのは困難です。宝くじに当たったとか特殊事情がなければ、給料だけですぐに多額の資金を用意できません。

だから、働き始めて間もない人は一極集中投資をせざるを得ません。一極集中投資は成功すれば大きな利益を手にできます。しかし、失敗した時には元本の多くを失う危険があります。

若いうちに少額の資金をコツコツと投資して行けば、多くの運用益を得られると言うのは、実は高いリスクを負っているのだと理解しないといけません。安全性を追求するのであれば、まずは国債や預貯金のような安全性の極めて高い方法でコツコツとお金を貯めていき、ある程度まとまった資金ができた段階で、株式や不動産などに分散投資すべきです。