最初の提案に従って投資し続けてしまう

携帯電話、インターネット、保険など、何かサービスの利用を開始する際におすすめのプランを提案されることがあります。

おすすめというだけあって、他のプランと比較しても、支払う料金に対して受けられるサービスが充実していることが多いです。店員さんの話を聞いていたら、確かに得だと感じますし、わざわざ他のプランの内容を細かく確認していくのは面倒だから、おすすめのプランを選んでおこうと思い契約することはよくある話です。

契約段階では、それでも構わないでしょうが、サービスを利用し続けているうちに不必要なオプションに気づいた場合には、そのオプションを解除し支払っている料金を安くした方が良いです。

なんとなく現状のサービスを利用し続ける

しかし、どのようなサービスでも、最初に提案されたプランをそのまま継続してしまうことはよくあります。

このように最初の状態をそのまま受け入れることを初期値効果といいます。現状のサービスをなんとなく利用し続けているのも、この初期値効果が働いているからと考えられます。

また、オプションの変更をするとなると、電話で問い合わせたり、インターネットでオプション変更の手続きをしたり、解約書を郵送したりと手間がかかることがあります。現状に不満がなければ、わざわざそのような手間をかけようとは思わないので、初期値を受け入れ続けることになります。

生命保険に加入している方は、初めて契約した時、保険外交員が提案した保障内容のまま継続しているのではないでしょうか。

生命保険は、10年経つと更新となることが多いです。その際、死亡保障、三大疾病特約、入院保険金、手術保険金、通院保険金、生存給付金など、様々な保障を付けていた場合、特約の見直しをせずに更新すると、これまでよりも保険料が上がります。

それでも、保障内容を変更するのが手間と感じ、保険料が上がってもそのまま支払い続ける人はよくいます。

生命保険に加入する際に特約がセットになっていたら

また、保険会社は、これまでの保障内容のまま更新した場合の保険料を事前に知らせてきますが、現在の保険料を維持し、保障額を減額したプランも提案することが多いです。

ここで、保障額を減額して更新した場合であっても、当初の保険料とほぼ同額での更新となるので、最初に支払っていた保険料が初期値となっています。

生存給付金は必要か?
通院保険金は必要か?
他の特約を付けた方が良いのではないか?

このようなことを検討し始めると手間がかかりますから、現在の保険料が負担と感じなかったり、この10年間健康で過ごしていて保険金を受け取らなかった場合には、保険会社が提案した内容の中から選んで更新することが多くなります。

資産運用でも初期値効果がある

携帯電話のプランや保険の場合、初期値を受け入れてしまうことがわかりました。

では、資産運用の場合でも初期値効果が認められるのでしょうか。

例えば、個人型確定拠出年金(iDeCo)で老後資金を運用する場合を考えてみましょう。

iDeCoは、掛金を国内株式、海外株式、国内債券、海外債券などで運用しますが、あらかじめ掛金の配分割合を決めておかなければなりません。もしも、最初に配分割合を指定しなければ、証券会社が決めた配分割合で掛金が運用されます。

最初は、iDeCoがどんなものかわからないので、証券会社の配分割合に従っておこうと思ったなら、それが初期値となり、ずっとリバランスせずに掛金を運用し続けることになるでしょう。

iDeCoに限らず、投資信託で資産運用する場合も、最初に金融機関からドルコスト平均法がおすすめだと説明されたら、毎月1万円や2万円の定額を投資信託で運用し続けることになるでしょう。

このように資産運用の場面でも、初期値効果が見られますから、現在の運用方法で良いのかどうかを定期的に考え直すことが大切です。多くの人は、初期値効果を知らないので、それを知っているだけでも、今より有利な資産運用ができるはずです。