投資には勝者と敗者が出ると言いますが、この思考法は投資が賭け事の一種であると言っているようなものです。投資で得した人の儲けは、投資で損した人の懐から出たお金だというのでしょうが、必ずしもそのようなことはありません。
むしろ、本当の投資であれば投資家全員が得することだってあるのです。
鉄道会社への投資で考えてみる
例えば、鉄道会社に投資することを考えてみましょう。
今、東京と横浜の間に線路がなく電車が走っていなかったとします。そこで、ある実業家が東京横浜間を走る鉄道会社の設立を企画しました。
その実業家の試算では、東京横浜間に鉄道を開通すると毎日1,000万円の利益が発生するということです。年間36億円以上の純利益ですね。
設立に必要な資本は360億円。すべて自己資本で賄うため発行価額5万円の株式を72万株発行することにしました。
そして、株主を募って360億円の出資を受けて鉄道会社が設立されました。鉄道会社は、当初の計画通り、安定的に毎日1,000万円の利益を上げることができ、20年が経過しました。
さて、この投資で勝者はいくら儲かったでしょうか?また、敗者はいくら損したでしょうか?
株主全員が得した
簡単な例なので、誰だってすぐに計算できたと思います。
この鉄道会社は20年間で720億円の利益を獲得したので、自己資本は設立時の資本金360億円と合わせて1,080億円になっています。つまり、20年間で自己資本は3倍に膨らんだのです。したがって、1株当たり純資産も当初の5万円から15万円に増えています。
もしも、この鉄道会社が20年経過時点で解散し残余財産を株主に分配したとすると、株主は1株につき15万円の残余財産の分配を受けれます。すなわち、20年間の投資で株主全員が出資額の3倍の財産を手にすることができたのです。
ここには勝者しかいません。
FXで勝つ、信用取引で勝つと言っている人は、このような発想で投資をしていません。自分が円高に賭ければ、誰かが円安に賭けているはずだと思い込んでいるのです。そこからは、ある事業の成功で投資家全員が得するという発想は生まれないでしょう。