投資家心理と企業価値は別物

株式投資を心理戦と考えている投資家は非常に多いです。投資家心理を勉強することが株式投資で失敗しないために大切なことだと言っている人もいます。

しかし、投資家心理と企業価値はまったく関係ありません。

株価が下がっても売上が下がるわけではない

ある企業の株価が下がったら、その企業の業績が悪くなったと早合点する人がいますが、必ずしもそうではありません。ある日の売上が普段よりも多くても株価が下がることなんて、いくらでもあり得ます。

そもそも市場で形成される株価と企業価値は別物です。

株価には、企業価値が反映されてはいますが、それだけで形成されてはいません。ある日、お金が必要になって株式を手放さなければならない株主がいたら株価は下がります。初めて株式投資をする人が、有名な会社だからという理由で株式を取得すれば株価は上がります。

これらの投資家の行動は、企業の業績とは一切関係がありません。

短期投資は心理戦になりやすい

投資家心理を読むのが大切だと言う人は、短期投資を前提にしています。昨日買った株式を今日売る人が、財務諸表分析をしていることはまずありえません。

そもそも、財務諸表は3ヶ月に1回しか公表されませんからね。

短期投資ばかりをしている投資家は、ただ値動きを見ているだけです。パソコンのモニターの向こうに他の投資家の顔を思い浮かべて、脳内で勝手に心理戦を行っているのです。

そうやって、うまくいった投資家は、株式投資を心理戦だと考えます。だから、彼らは投資家心理を読むことが重要だと主張します。

でも、株式市場に参加している投資家が、毎日、株式売買を繰り返すことは、企業が行う事業活動とはまったく違います。そういった投資家がターゲットにしている株式の株価とその株式の発行企業の企業価値が一致しないことはあり得ます。

投資家心理を読むことと財務諸表分析をすること、どちらが企業価値を株価に反映させやすいかは誰にでもわかることと思います。