株式投資の経験を積んでも産業の衰退を予測するのは困難

どんなにこれまでの業績が良好でも、倒産してしまう企業があります。倒産理由は様々あるでしょうが、中には、その企業が属している産業そのものが衰退してしまったという場合もあります。

さすがに産業の衰退は、企業の財務諸表を見ていてもわかりません。ある時、新技術の開発により従来の産業が役目を終えたことは、過去に何度もありました。

新規事業への転換

自社が所属する産業が衰退していく中で、新規事業に投資して成功すれば、その企業は存続できます。場合によっては、これまでよりも売上や利益を拡大させることもあります。

しかし、これまで何の経験もない事業を行うのですから、基本的に新規事業は失敗する可能性の方が高いです。

もしも、このような企業の株式を保有しているのなら売却して、すでにその事業で業績を上げている企業の株式を取得した方が安全です。

産業の将来性は予測できない

どんなに新聞を読んだりニュースを見たりしていても、将来性のある産業を予測するのは難しいです。それが可能であれば、倒産する企業はありません。

経営の素人である個人投資家なら、なおさら予測困難です。それなのに産業の将来性を評価することが投資には大切だと言う人がいます。もちろん、産業の将来性を考えて株式でも不動産でも投資することは大切です。しかし、それが可能なのは既存産業だけです。新たな産業が登場した時には、どの投資家も、その産業のことを理解していません。その産業に従事している人でさえ、将来性がある産業かと問われた時に自信を持って将来性があるとは言えないでしょう。

新たな産業が将来性があると予測できれば、取って代わられる既存産業が何かもわかるでしょう。しかし、新たな産業の将来性の予測は困難なので、既存産業がいつ衰退するかも予測するのは難しいのです。