定年退職をした後の生活費を少しでも増やすために投資を始める方がいます。
しかし、これまでに投資の経験がないのに老後資金を増やす目的で、退職金の大部分を株式や投資信託のようなリスクのある投資対象に投資するのは危険です。失敗すれば、これまでの蓄えを切り崩して生活しなければならなくなるのですから、定年退職後から投資を始めるのは慎重であるべきです。
退職金はまず定額貯金へ
退職金を受け取ったら、まずすべきことは退職金を安全資産にしておくことです。
安全資産がどれなのかわからないのなら、とりあえず、ゆうちょ銀行の定額貯金に預けておくのがおすすめです。ゆうちょ銀行に貯金できるのは、普通貯金が1,300万円まで、定期・定額貯金が1,300万円まで、全ての貯金を合計して2,600万円までです。
1,300万円になるまで定額貯金にする必要はありませんが、1,000万円くらいは定額貯金にしておけば安心です。払い戻しは6ヶ月後からですから、それまでにどのように投資して資産形成するかを考えておくと良いでしょう。
株式投資をしようと思っているのなら、この6ヶ月の間に簿記の勉強をして会計学の知識を身につけておきます。簿記検定2級までなら6ヶ月で取得可能です。退職後まで勉強したくないと思うでしょうが、それならそれで構いません。ただし、簿記を勉強しないのなら株式投資も諦めましょう。
年金しか収入がないから安全性の高い投資を
定年退職後は、年金しか収入がありませんから、資産運用は、より安全性の高い対象に投資すべきです。定額貯金のまま資産を持っておくのも良いでしょう。また、個人向け国債で運用するのもありです。
どちらも利率が低いので大きな運用収益を得られませんが、定年退職後に仕事をしないのであれば資産を減らさないことを最優先にした方が良いでしょう。
老後の資産運用は、失敗すると取り返しがつかない場合が多いですから、安全性を重視し過ぎるくらいの方が良いです。金融機関から様々な勧誘を受けることもあるでしょうが、自分には必要ないと断ることが大切です。気になる場合は、資料だけもらって自宅でじっくりと目を通しましょう。そして、他人に仕組みを説明できるようになるまで理解できなかった場合は、その投資案件はなかったことにします。
年齢に関係なく、資産運用の前に勉強することは大切です。勉強する気がないのなら、大事な老後資金は預貯金に預けておきましょう。