ローリスク・ハイリターン投資はあり得ない

誰だって、少ない投資で大きな利益を上げたいと思うものです。投下資本の2倍、3倍、いや10倍以上の利益を夢見る人は非常に多いですが、そのようなことは偶然以外に起こり得ません。

ローリスクの投資はローリターンになりますし、ハイリスクの投資はハイリターンになるのが基本です。ハイリスク投資をしてローリターンになることはありますが、その逆、つまり、ローリスクの投資でハイリターンを得る投資は、まずないと考えるべきです。

割の良い投資を誰もが求める

仮にローリスク・ハイリターンの投資があったとしましょう。

この場合、初めにその投資を行った投資家は大きな利益を得られます。しかし、そのような美味しい状況はいつまでも続きません。いずれは、他の投資家にも知られ、新規にその投資を行い、最初のうま味が少しずつ減っていくからです。やがて、その投資は、ローリスク・ローリターンの投資となるでしょう。

これは、裁定取引の場合にも、当てはまります。裁定取引は、2ヶ所の市場で同じモノが異なる価格で取引されているのを見つけて、その価格差を利用し利益を得る投資手法です。

例えば、ブラジルでコーヒー豆が100グラム当たり50円で売られており、日本では100グラム当たり100円で売られていたとします。この場合、ブラジルでコーヒー豆を安くで仕入れて日本で売れば、仕入値の2倍の売上になります。しかし、同じことを考える人が増えて行けば、ブラジルで流通するコーヒー豆が減って価格が上昇し、日本で流通するコーヒー豆が増えて価格が下落します。そして、最終的には、ブラジルでも日本でも、コーヒー豆の取引価格は100グラム当たり75円の辺りで落ち着きます。

つまり、裁定取引は、2つの市場の価格差を利用して、その価格差が是正されるまでの短期間に利益を得る投資手法なのです。

いつまでもローリスク・ハイリターンは続かない

インターネット上では、ローリスク・ハイリターンの投資があるかのように思わせる情報が発信されていることがあります。

裁定取引は、最初の内はローリスク・ハイリターンですが、いずれはローリスク・ローリターンとなります。これは、どのような投資対象にも言えることです。もちろん、ローリスク・ハイリターンの状況で無茶な投資をして、ハイリスク・ハイリターンを狙う投資家も出てくるでしょう。

いずれにしても、ローリスク・ハイリターン投資は、ほんの一瞬現れることはあっても、いつまでも継続的に行える投資ではないのです。