期間が延長される特約付きの定期預金には預けない

定期預金には1年、2年、3年など期間が定められています。基本的に預入期間が定められている定期預金の場合、途中で解約が認められません。中途解約が認められる場合でも、金利が普通預金利率で計算された額しか受け取れなかったりします。

期間が長く、中途解約できない定期預金ほど得られる金利は多くなるのですが、資金を一定期間引き出せないというデメリットがあるので、万が一のことを考えたら解約不能の長期の定期預金にはお金を預けるべきではありません。

同じような理屈から、定期預金の預入期間が銀行の都合で延長されるような預金商品にも手を出すべきではありません。

利益が減ることを銀行はしない

銀行の都合で預入期間が延長される定期預金の場合、通常の定期預金よりも金利が高く設定されています。金利が高い定期預金に預けることができると言われると、何となく銀行が自分を特別扱いして、有利な定期預金を紹介してくれているのだと思いがちです。

しかし、実際はそうではありません。

高い金利を預金者に支払ってまで、銀行が売りたい定期預金とはどういうものでしょうか?それをじっくりと考えなければ、銀行が儲かるだけで自分は損することになりかねません。

銀行は、預金者から集めたお金を企業などに融資します。銀行の儲けは、貸付先の企業などから受け取る利息と預金者に支払う利息の差額となるのが基本です。だから、銀行としては預金者にはできるだけ少ない金利を支払い、貸付先からはできるだけ多くの金利を受け取ることで、利ザヤを大きくできます。

預金者に多くの金利を支払うことは、貸し出しで得られる金利との差額である銀行の利益を減らすことになります。そのようなことまでして、銀行が預金者に多くの金利を支払うことがあるのでしょうか?普通に考えれば、そのようなことをしないとわかるはずです。

デリバティブが組み込まれていることを疑う

こういった定期預金には、先物やオプションなどのデリバティブ(金融派生商品)が組み込まれているのではないかと疑うべきです。

デリバティブは、企業が為替リスクや金利上昇のリスクを回避するために利用するのが一般的です。しかし、デリバティブは投機目的でも行われることがあります。銀行がデリバティブを組み込んだ預金商品を販売するのは、投機目的だと思った方が良いでしょう。

中途解約できない定期預金で、しかも銀行の都合で期間が延長される特約があるものは、デリバティブが組み込まれているのかもしれません。

中途解約できない定期預金は、インフレになると預金者が損をします。もしも、デリバティブが組み込まれていた場合、インフレになると得をする人が、銀行の取引先にいるはずです。つまり、銀行はインフレになると得をする方に賭けている人から一定の手数料を受け取り、その一部を預金者に利息として支払っているのです。これは、預金者が知らない間に将来インフレにならなければ得をする方にお金を賭けさせられているということなのです。

インフレになると預金者が損をするから期間が延長される

インフレになると得をする方に賭けている人は、実際にインフレになった時、その賭けの期間を延長したいと銀行に言いだすかもしれません。そして、銀行がそれに応じた場合に定期預金の預入期間が延長されます。

特約で定期預金の期間が延長されるのは、これが理由だと思ってよいでしょう。

預金者から見れば、インフレになればなるほど損をするのですから、今後もインフレが続くと予想される場合には、すぐに預金を解約したいはずです。しかし、特約で期間が延長され、しかも中途解約できないのですから、預金者はこのまま損し続けるしかありません。

インフレになる方に賭けた人に銀行はどうやってお金を支払うのでしょうか?

それは、預金者から預かった定期預金を国債などの他の投資でインフレに見合うだけの運用益を得て、取引相手に支払うのです。したがって銀行の懐は1円も傷むことはないのです。インフレで発生する損は、すべて預金者がかぶることになっているのです。

このように解約不能の期間がある定期預金や銀行の都合で期間が延長される定期預金には手を出さないことです。安全な資産運用を心掛けるのであれば、定期預金はできるだけ期間の短いものを選ぶべきです。

目次

  1. 安全な資産形勢の基本は預貯金から
  2. 普通預金はインフレに強い
  3. 貯蓄預金を普通預金残高に余裕ができたら検討する
  4. 中途解約できない長期の定期預金はインフレに弱い
  5. 定期預金は単利型と複利型のどちらを選ぶべきか
  6. 外貨預金は為替リスクが大きいので安全な資産形成には不向き
  7. 期間が延長される特約付きの定期預金には預けない
  8. 定期預金よりも個人向け国債(変動10年)を買う方が安全