国内の銀行の普通預金や定期預金の利率が低いことから、外貨預金を検討する方もいらっしゃるでしょう。
国内の銀行の定期預金金利が0.1%もないような低金利の状況でも、ドル預金なら1.0%を超える場合があります。これだけ金利差が大きいと、ドル預金をしたくなります。しかし、ドル預金にかかわらず、外貨預金には必ず為替リスクが存在していることを忘れてはいけません。
為替リスクは、為替相場が変動することで得したり損したりすることを意味します。ドル預金であれば、円に対してその価値が上がるドル高(円安)の状態なら、預金利息に加えて為替差益も得られます。だから、非常に魅力的な金融商品に思えるのですが、ドル安(円高)になった時には為替差損が発生し、高い預金利息を得られても為替差損と相殺されて、国内の定期預金の方が利回りが良いといったことも起こります。
元本に加えて利息が戻ってくる状況なら良いのですが、予想以上に円高が進み、元本割れを起こすことだってありますから、外貨預金で損することも起こり得ます。
為替相場が変動しなくても損する可能性が高いのがドル預金
ドル預金をする場合、為替相場が預入日と解約日でまったく同じだった場合、預金利息だけ得すると思うでしょうが、そのようなことはありません。
為替相場の変動がなかった場合には、預金者は確実に損をします。なぜなら、銀行に支払う手数料が発生するからです。
ドル預金の場合、預け入れた時に1ドルにつき1円の手数料を銀行に払わなければなりません。そして、解約してドル預金を円に交換するときにも1ドルにつき1円の手数料が発生します。つまり、預け入れと解約の往復の手数料が1ドルにつき2円かかるのです。
仮に1ドル=100円の時にドル預金を申し込んだとしましょう。
この場合、元本と利息を解約日に得るためには、解約日の為替相場が1ドル=102円になっていなければなりません。2円くらいなら短期間ですぐに動くから問題ないと思うかもしれません。しかし、2円の変動はドル高(円安)方向ではなく、ドル安(円高)方向ということだってあり得ます。
上記の例で、預金利率が年利1.0%だとすると、解約日に1ドル=101円であればドル預金の収支はゼロとなります。1年間も為替リスクにさらされることを考えると、年利1.0%の金利は、大した魅力ではありません。
安全な資産運用では元本割れのリスクを減らすべき
安全に資産を運用するためには、元本が減ってしまう危険のある金融商品には手を出すべきではありません。もちろん、どのような投資対象でも、元本が保証されることはないのが基本です。
一定額までの預金については元本が保証される場合がありますが、原則として元本割れのリスクはどのような投資対象にも存在します。だからと言って、元本割れのリスクが高い投資を行うべきではありません。
元本が維持されていれば再投資が可能ですが、元本が目減りすると投資額が縮小していき、以前よりも投資から得られるであろう収益が少なくなってしまいます。
外貨預金は、為替相場の変動で元本割れを起こすリスクが非常に高いので、安全な資産運用を行う際は、手を出すべきではありません。