為替相場を予測できるという幻想

為替相場の変動は9割が投機で動いていると言われています。したがって、貿易や旅行など必要だから通貨を交換している割合はたったの1割だけとなります。

インターネット上では、よく外国為替証拠金取引(FX)の必勝法が紹介されていますが、為替相場の9割が投機目的で動いているのにどうやって将来の為替相場を予測するのでしょうか?

為替相場は読めない

冷静に考えれば、9割が投機で動いている為替相場を読めるわけはないと気付きます。

しかし、日本経済の低迷がどうとか、アメリカ経済が上向いて来たとか、そういった情報をちらつかされると、為替相場を読めると言っている人の主張がもっともらしく聞こえてきます。

もう一度言いますが、貿易など必要に迫られて通貨の交換をするのは1割です。日米両国の経済がどうのこうの言っても、為替相場への影響はたったの1割でしかないのに将来の為替相場の変動をここから予測するのは困難です。

外貨建資産を持っていなければ為替に手を出す理由はない

そもそもFXのような取引は、外貨建資産を有している場合に利用するものです。

現在、ドル預金を持っていて1ヶ月後に満期を迎えるとしましょう。しかし、1ヶ月後は、今よりもドルが値を下げているかもしれません。将来の為替相場を読めないとは言っても、じわじわとドルが値を下げている状況だと、1ヶ月後は今よりもドル安になっている危険があります。

そこで、今のうちに為替予約をしてドルがこれ以上値下がりしても損失が発生しないようにしておくのです。例えば、現在の為替相場が1ドル=100円だったとします。1ヶ月後は1ドル=95円になっているかもしれないと思ったら、金融機関と為替予約の契約をし、1ヶ月後に1ドル=100円でドルを売る約束をしておくのです。そうすれば、1ヶ月後の為替相場に関係なく1ドル=100円でドルを売却できます。

為替予約と同じくFXも、外貨建資産を有している時に行う取引であって、外貨建資産を有していないのにFXに手を出すのは単なる投機でしかありません。

外貨建資産を保有していない人が、為替に手を出す理由はないのです。