資産運用の際、どの対象に投資するべきか。これを考える時、多くの人が将来的に資産が増えそうな投資対象を選ぶと思います。損することが明らかなモノに投資する人はいませんよね。
他にも、投資する際に重要となるのが、その投資取引の仕組みが持続可能かどうかです。ある資産に投資したとしても、その資産を将来的に売却できる市場が消滅してしまっては換金できませんから、その投資対象の価値が上昇したところで損をします。
取引の仕組みの持続性という視点で投資対象を選ぶ場合、仮想通貨は資産運用に適したものと言えるでしょうか?
1国の消費エネルギーと同等のコストがかかる
仮想通貨の取引の仕組みを維持するためにかかる費用は、2018年ではデンマーク1国のエネルギー量を上回ると、ニュースサイトで報じられていました。
なぜ、これほどまでに多くのエネルギーを仮想通貨の取引では消費するのでしょうか。
その答えは、マイニング(採掘)という仕組みにあります。
例えば、仮想通貨のビットコインの場合、過去10分間に行われた取引の正確性を最も早くチェックした人に新規にビットコインが発行されるようになっています。これをマイニングと言います。
マイニングには、ビットコインの取引を行っている人なら誰でも参加できますが、個人が持っているパソコンでは最も早く取引をチェックするのは、ほぼ不可能です。マイニングでビットコインを手に入れている人は、専用のコンピュータを高額な費用をかけて作り、それを動かすのに多大な電力を消費しています。
このマイニングの競争に費やされる1年間のエネルギー量が、1国で消費するエネルギー量を上回るのですから、環境への負荷が極めて高いことがわかります。
エネルギー消費に見合う価値を維持できるか
ビットコインのマイニングの費用が1回あたり1万円であれば、新規発行されるビットコインの価値が1万円以上でなければ採算が合いません。10万円の費用がかかれば10万円以上の価値がなければなりませんし、20万円の費用がかかれば20万円以上の価値がなければなりません。
マイニングの参加者が一定であれば、マイニングにかかる費用も一定になるでしょうが、新たにマイニングに参入する投資家がいれば競争が激しくなるので、マイニングにかかる費用は上がります。
すなわち、仮想通貨の取引参加者が増えるほどマイニングのコストが上がっていきます。
仮想通貨取引が過熱し、エネルギー消費量がさらに増えていくと、新規発行される仮想通貨を手に入れても採算が合わなくなる可能性があります。100万円のコストを負担したのに50万円でしか仮想通貨を売れなければ、50万円の損失が発生します。
このような状況になった時、仮想通貨に投資する人の数は減って行くでしょう。
そもそも、仕組みを維持するのに多大がエネルギーを消費するようなモノは投資対象に不向きです。いつまでも仮想通貨取引で利益を上げることはできません。