財務論の書籍では、完全市場を前提に市場価格がどのように動くのかが解説されています。財務論では、市場価格がどのように動くかは完全市場を前提に考えます。そして、完全市場を前提にすると、公表された情報は瞬時に世の中に広まり、素早く市場価格に反映されるとされます。
つまり、自分が投資に有利な情報を得た時には、すでに他の投資家にも同じ情報が伝わっているので、自分が他の投資家を出しぬいて利益を上げることはできません。
メディアで特集された銘柄に投資しても利益を上げにくい
投資関係の雑誌では、よくこれから狙い目の投資対象を特集することがあります。株式であれば、どの産業が今後伸びるのか、不動産投資であればどの地域が将来性があるのかといった特集ですね。
これらの特集が組まれた時点で、市場価格にはその情報が織り込まれていますから、雑誌を読んでから投資しても偶然以外の要素で利益を上げることはできません。それが完全市場を前提にした投資の考え方です。
完全市場を前提にしなくても、現代のような情報化社会では、メディアが発信した情報は短時間で多くの人の耳に入ります。なので、メディアで特集された後に投資しても、儲かるかどうかはわかりません。
株式投資であれば財務諸表分析が先
株式投資であれば、雑誌の特集記事を読むよりも財務諸表分析をする方が大切です。
メディアの情報を入手して投資判断をするのは、違う言い方をすると、噂に流されて投資しているのと同じです。自分が投資しようとしている銘柄が妥当な株価かどうかを判断するためには、その企業の業績を把握しなければできません。そして、企業の業績を把握するために財務諸表分析がとても重要になってきます。
メディアから垂れ流される情報を入手するよりも、有価証券報告書を読むことの方が資産運用には大切なのです。