近年、日本の銀行に預金していても利率が低いので大して儲からないから、海外資産に投資した方が良いということを耳にする機会が増えています。
日本の銀行よりも海外の銀行の方が利率が良いので、外貨預金の方が有利な資産運用と考えることはできます。しかし、海外資産への投資は日本円に交換するときの為替相場の影響を受けることを忘れてはいけません。
海外資産で持ち続ける利点
例えば、為替相場が1ドル=100円の時にドル預金をしたとします。利率は1%だったとしましょう。この場合、1年間預けていればドル預金は1.01ドルになっています。もしも、為替相場が1年後も1ドル=100円なら、100円で始めたドル預金が101円に増えていることになります。
しかし、為替相場が1ドル=90円になっていれば、100円が90.9円に減ってしまいます。だから、海外資産への投資は外貨建ての運用利回りだけでなく、日本円に換算した時の回収額も考慮しなければなりません。
ただし、ドル預金を日本円に交換せずにドルのまま持ち続ければ為替差損益は発生しません。そのドル預金を利用してアメリカで買い物をして、商品を日本国内に持ち込めば、為替リスクはまったく負担しなくて済みます。
しかし、日本の銀行でドル預金をした場合、ドル預金を引き出す時には日本円に交換されるので、このようなことはできません。したがって、個人が日本の銀行でドル預金をした場合は為替リスクを回避できないのです。
米ドルは円に対して安くなり続けているという事実
また、基本的なこととして、米ドルは日本円に対して数十年間値下がりし続けていることを知っておく必要があります。
戦後は1ドル=360円だったのに近年は1ドル=100円程度で推移しています。このような為替相場の動きを見て、将来的に米ドルを持っている方が有利だと自信を持って言えるでしょうか?
普通に考えれば、今後も徐々にドル安が進んでいくと思うはずです。もちろん、今後、どのように為替相場が変動するかはわかりません。ドルが値上がりを続けていくかもしれませんから、今のうちに米ドルを持っておく方が有利かもしれません。
結局、為替相場がどう動くのかを予測するのは難しいのですから、資産の大部分を海外資産で持つことには慎重である必要があります。将来、移住を考えているのなら現地通貨も持っておくと良いでしょうが、そうでないのなら安易に海外資産に投資しない方が無難です。