「投資では、勝者と敗者がいる」
一見すると正しいように思います。しかし、全員が勝者になることはあり得ます。もしも、投資には必ず勝者と敗者がいると考えている人は、短期投資ばかりを行っているのではないでしょうか?
短期投資では勝者と敗者が出やすい
例えば、100万円で取得した株式が翌日に102万円になっていたとします。この時、値上がりしてすぐに売れば2万円の利益が出ます。102万円で株式を取得した人が、翌日に100万円に値下がりし、これ以上持っていても株価が下がるだけだと判断したら、100万円で売却して2万円の損失を計上します。
上の例だと、2万円得した勝者と2万円損した敗者がいるので、投資には勝者と敗者が存在するという考え方は正しいように思えます。
長期の株式投資はバトンの受け渡し
しかし、長期保有を目的に株式を取得した場合はどうでしょうか?
現在25歳の山田さんが、A株式会社の株式を100万円で取得したとしましょう。そして、40年後に株価が50倍の5,000万円に値上がりし、老後に住むためのマイホームを購入することを理由に売却しました。
これだけ株価が上がれば、株式の流動性が低くなっているので、A株式会社は株式分割を行うでしょう。この場合、例えば、株式を50分の1に分割し、1株を40年前の100万円にしたとします。
山田さんが売却した株式のうち1株だけを25歳の田中さんが100万円で取得しました。そして、田中さんも40年間長期保有し、山田さんの時と同じく株価が50倍の5,000万円に値上がりしたところで売却しました。
さて、この一連の取引を見て、山田さんと田中さんのどちらが勝者でどちらが敗者ですか?
どちらも4,900万円の売却益を計上しているので、どちらも勝者ですよね。つまり、長期投資を行う投資家が、他の長期投資を行う投資家に株式を売却すれば、どちらも勝者になり得るのです。
企業が、長期的に発展していけば、人間の寿命以上に継続します。こういう企業の株式に長期投資すれば、やがて、その投資家の人生の後半で他の投資家に売却するときがやってきます。後を継いだ投資家も長期投資をして、次の長期投資家に売却するという流れができあがれば、その企業に投資した全投資家が儲かることは理論的にあり得るのです。
株式をバトンのように次の長期投資家に譲り渡す。
こういう株式投資が理想的です。