株式投資の世界では、一定以下まで株価が下がったら保有株式を売却して損を確定させる損切が大切だと言われています。
その会社の事業に将来性がなく、今後、他の産業に取って代わられそうな場合には、株式を手放した方が良いかもしれません。例えば、携帯電話が主流になるとわかっているのにいつまでもポケットベルにこだわり続けるような会社ですね。
将来廃れそうにない産業でも株価が下がれば売るべきか?
では、人間が生きていくために絶対に必要な産業の場合でも、株価が取得原価の一定以下まで下がれば損切をすべきでしょうか?
この場合は、その会社の業績や財務内容を見て判断しなければなりません。
今保有している銘柄の取得原価が30万円だったとしましょう。その会社の財務諸表を見れば1株当たり純資産が40万円でした。しかし、株価は20万円に下落しています。普通に考えれば、損切すべきではないですよね。なぜなら、40万円の価値がある株式を30万円で取得しているのですから。
損切にこだわる投資家は企業の価値を評価していない
それでも、取得原価よりも株価が一定以下になれば問答無用で損切しろとよく言われます。
こう言う人は、企業の価値を評価せず市場で形成される時価だけを見て株式取引をしています。つまり、市場で売買に参加している投資家の多くが企業価値を理解せずに株式を売っていることに気づいていないのです。当然です。損切のルールを決めて株式を売却している投資家は、財務諸表を見てませんからね。
自分が取得した株式の時価が下がっている時には、まず直近の財務諸表を見るべきです。そして、1株当たり純資産と現在の株価を比較しましょう。そうすれば、株価が過小評価されていることに気づけます。
もしも、株価が過大評価されているにもかかわらず、株価が取得原価よりも下がっている場合は、その株式を買った時点で自分自身が企業価値を過大に評価していたことになります。この場合には、損失を膨らまさないためにその株式をいったん売却すべきです。
結局、損切をしなければならない状況というのは、株式の取得時点で企業価値の評価を誤っていたということなのです。