株式取引には、信用取引という取引方法があります。信用取引は、差し入れた保証金の3倍まで株式取引をできるので、少ない元手で大きな利益を生み出すことが可能です。反面、失敗すれば大きな損失が発生することもあります。
信用取引は、株価が上がるか下がるか、どちらかに賭けるギャンブルと同じです。だから、信用取引を資産形成の一環と見ることはできません。しかし、株式投資を始めて、信用取引の存在を知ると、信用取引も資産形成の一つの手段だと勘違いして手を出す人がいます。
信用取引の期限は6ヶ月
信用取引には期限があります。どんなに長くても6ヶ月までしか継続できません。
したがって、6ヶ月後に多くの損失が発生していても強制的に手仕舞いして損失を確定させなければなりません。
現物の株式取引であれば、株価が下がっても、しばらく様子を見て株価の回復を待つことができます。しかし、信用取引の場合は最長で6ヶ月しか待てないので、近い将来に株価が回復する見込みがない場合には、早めに取引を手仕舞いして損切りしなければならない場合が出てきます。
長期投資の思考であれば信用取引に手を出さない
どんなに長くても6ヶ月以内に手仕舞いしなければならない信用取引に長期的に資産を形成して行こうと考えている人が手を出すことはありません。
信用取引に手を出すのは、デイトレーダーのような短期投資家ばかりです。
そもそもデイトレーダーのように短い期間に株式の売買を繰り返すことにまともな根拠はありません。当然、信用取引の場合も6ヶ月以内に株価が上がるという根拠を見つけることは基本的に不可能です。
財務諸表を見て将来性のありそうな会社だと思っても、いつまでに純資産がどれだけ増加するのかを言い当てるのは、とても難しいことです。前年並みの売上と利益を達成するだろうという予測はできるかもしれませんが、大幅な利益の増加になると予測するためには、その企業の業績を大幅に良くする何らかのプラス材料がなければなりません。空売りしている場合には、近い将来にその企業の業績に悪影響を与えるマイナス材料がなければなりません。
企業の決算は四半期ごとにしか発表されないのですから、個人投資家が、企業業績を知りうる手段は3ヶ月に1回しか訪れません。6ヶ月以内に手仕舞いしなければならないのに3ヶ月に1回しか情報を入手できないのですから、信用取引で失敗するのは当たり前です。
それなのに信用取引に手を出すのは、短期投資で儲けようと思っているからです。
時間をかけてじっくりと資産形成しようと考えている個人投資家なら、信用取引に手を出すことはありません。