ある株式の株価が割安か割高かを評価するためには、何かと比較しなければなりません。その何かは投資家によって言うことが違っています。他社の株価との比較が重要だと言う投資家もいれば、過去の株価との比較が重要と言う投資家もいます。
ここで、他社との比較で株価が割安か割高かを比較する方法を考えてみましょう。
横の比較は参考にしかならない
例えば、お店に行ってバッグを購入する時、バッグの値段がそのバッグに見合う価格かどうかを判断しようと思ったらどうするでしょうか?
最も簡単な方法は、陳列されている他のバッグとの比較です。値札だけを比較して安いとか高いとか判断する人もいるでしょうが、それだけで安い方が割安でお得だとは判断できません。逆に高い方が高級だとも判断できません。
バッグがお買い得かどうかは、そのバッグが持っている価値と売られている値段との比較で判断するのが普通です。安い材質で作られているのに数万円もするバッグは割高です。同じ値段であれば革で作られたバッグの方が価値が高いことはすぐに理解できるでしょう。
並んでいるバッグの値札だけを見て、最も安いバッグがお買い得とはならないはずです。つまり、横の比較だけでは、そのモノの価値を把握できないのです。
株式も企業価値と株価との比較
横の比較だけでモノの価値を把握できないのと同じように株式も、他社の株式の株価と比較して価値を把握することはできません。
バッグを買う時は、自分の財布の中に入っているお金と相談して安い方を買うという選択もありです。しかし、株式投資の場合は、投資できる資金の範囲内で取得する株式を選ぶという判断はしてはいけません。
1株当たりの企業価値よりも株価が高い場合には、割高な買い物をしたことになり損する可能性が高いからです。バッグなら割高に買っても、使用できている限りは便益を受けられます。でも、株式投資は利益を得る目的で行っているのですから、本来の価値よりも高い株価で株式を取得すると、その目的を達成できません。
他社株式の株価との比較だけで株式を取得すべきかどうかの判断を行うべきではなく、横の比較は参考程度にしかならないことを理解しましょう。もちろん、その業種の特徴というものはあるでしょう。しかし、株価と比較すべきは企業価値でなければなりません。