株価が上がった時に買って下がった時に売るのが損する原因ではない

株式投資の失敗談は、この世にたくさん溢れています。その中でよく目にするのが、株価が高騰した時に買って、下がった時に売ったのが損した原因だというもの。

株価が上がりきったところで株式を買えば取得原価以下の株価でしか売れません。また、持っている株式を最も株価が下がった時に売れば確実に損します。これは、当たり前のことです。しかし、株式投資で損した本当の原因はこういうことではありません。

企業の財務内容を一切考慮しないことが問題

株価が高いところで買い、安いところで売るから損するという発想は、そもそも株価チャートだけを見て株式取引をしているから生じるのです。

株式に限らず、高いか安いかは、そのモノが持っている価値と比較して決まるものです。500ml入りのミネラルウォーターがスーパーで1,000円で売っていれば高いと誰もがわかります。反対に10円で売られていれば安いと判断します。多くの人が500mlのミネラルウォーターの価値が100円程度だとわかっているから、1,000円だと高い、10円だと安いと考えるのです。

株式取引も、これと全く同じです。10万円の価値の株式が市場で50万円で取引されていれば高いとすぐにわかります。株価が5万円なら安いと判断して、その株式を取得するでしょう。

500mlのミネラルウォーターが100円程度が妥当な値段だと判断できるのは、どのお店でも、大体この程度の値段で売られているからです。つまり、多くの人がミネラルウォーターの相場観を持っているから100円程度でしか取得しようと思わないのです。

株式の場合も同様に同業他社の株価と比較して、株価が高すぎる、あるいは安すぎると判断できます。そして、その判断は、同業他社も含めて財務諸表分析をしているからできるのです。株価チャートの動きを見て割高か割安かを判断できないことを理解しましょう。

株価が高いか安いかは財務内容で決まる

ある株式の株価が高いか安いかを判断する材料となるのは、その企業の財務内容です。1株当たり純資産や1株当たり当期純利益を財務諸表から把握し、現在の株価と比較すれば、株価が割高か割安かはわかります。どちらとも判断できない場合には、その株式に手を出さないことです。

株価が上がった時に買って下がった時に売ることが損する原因ではありません。

その企業の価値を知らずに株式取引をしているから、企業価値よりも高い株価で株式を取得し、株価が企業価値を下回った時に株式を売るという誤った行動をとってしまうのです。