株式投資をしている人の中には、株価の変動に何らかの法則性があるのではないかと思っている人が少なからずいます。一定期間下がり続けていると上がり始めるとか、一定期間動いていない場合は今後も動かないとか、いろいろと理屈をつけて何かしらの法則を作りたがります。
しかし、株式市場に参入している投資家は非常に多く、誰もが同じ行動をとるとは限りませんから株価に法則性を見つけるのは困難です。
投資家心理を読もうとしても無駄
株価の変動に法則性を見つけようとしている人は、株式市場に参入している投資家心理を読もうとしていることに気づいているのでしょうか。
この世にチャートしか見ない投資家だけなら、一定期間、株価が上がり続けている株式を買うとか売るとかいった投資手法は成り立つのかもしれません。しかし、そもそも株式の価値は、その株式を発行している企業の業績と関係しているものなのですから、これを無視して投資家心理を読もうとするのは無意味です。
1株当たりのあるべき時価が100円なのに株式市場で1,000円で取引されていれば、その株式は明らかに過大評価されています。それなのに株価が上がり続けているという理由だけで、1,100円や1,200円でこの株式を取得することに合理性があるでしょうか。本来、100円の価値しかないのですから、こんなに高値で株式を取得するのは合理的でないとわかるはずです。
投資家心理を読もうとしてばかりだと、あるべき株価がいくらなのかを財務諸表から分析しなくなります。それが正しい株式取引といえるでしょうか?
たくさんいる投資家の行動が一定のはずがない
一定期間の値動きを見て、買いだとか売りだとか決めるのは、たくさんいる投資家が全員同じ行動をとると決めつけています。
しかし、人は、それぞれ置かれている環境が違うので、投資家全員が必ず同じ行動をとるとは限りません。むしろ、全員が同じ行動をとる方が珍しいのです。
それなのにチャートの動きから株価が上がるか下がるか予測しようとするのは、投資家の意思決定に何らかの規則性があると決めつけていることになります。しかも、株式市場に参入している投資家に会ったことがないのにです。
他の投資家がどの株式を買ったり売ったりするかを見て、自分が投資する株式を決めるのは、会ったことがない人の言うままに行動しているのと同じだと知りましょう。