投資家は自分が株価を上げているのではないと自覚しなさい

株式投資には、配当金の受け取りで儲けること(インカムゲイン)と株式の売却益で儲けること(キャピタルゲイン)の2種類があります。そして、大きく儲けるチャンスがあるのがキャピタルゲインです。

株式投資の成功者の多くは、高額な売却益を手にした人が多く、投資家であれば誰もが羨ましく思います。その成功者が買う株式がいつも値上がりしていれば、まるで、その人が株価を上げているのではないかと考えてしまうことがあるかもしれません。

企業価値を高めているのは従業員

しかし、投資家は企業の経営とは無関係な人ですから、投資家が企業の価値を高めることはできません。株式の売買で成功している投資家は、株価が上がると予想した銘柄を取得しているだけです。

ところで、株価はなぜ上がるのでしょうか?

多くの人は、企業価値が高まるからと答えるでしょう。では、その企業価値を高めているのは誰でしょうか?

それは、その企業で働いている従業員の方々です。彼らが、日々、コツコツと仕事をして売り上げを積み上げていき利益を増やしているから、企業の純資産が増えるのです。

投資家は純資産を増やせない

従業員がコツコツと働いて獲得した利益は、最終的に純資産に積み上げられます。そして、純資産は企業の所有者、つまり株主に帰属します。

先ほども述べましたが、純資産を増やしているのは従業員です。株主は、その純資産から配当を受け取るので、純資産を減らすことはあっても増やすことは基本的にありません。新株発行が行われれば別ですが。

しかし、ある銘柄の株式が頻繁に取引されると株価が上がっていきます。株価の上昇を見ていると、まるで、その取引に加わった投資家が株価を上げているのだと思ってしまいます。

株式を取得する投資家の中には、その企業の製品やサービス、ひいては従業員の勤務内容を評価している人がいます。そういった投資家が、しっかりと企業評価を行っているから、従業員の勤務内容が株価に反映されているのです。

ところが、短期売買を繰り返している多くの投資家は、それを理解していません。まるで、自分たちが株価を上げているのだと言わんばかりです。

企業価値を高めているのは、その企業で働く人々であり、投資家ではないのです。