株価は時として上がり過ぎたり下がり過ぎたりします。一時的に買いが集中すれば上がりますし、売りが集中すれば下がります。
株価の上げ過ぎや下げ過ぎは、そういった偶然によって起こることがあるのですが、それをあたかも法則性があって起こっているように思わせる情報をよく目にします。
移動平均線乖離率を見ても正しい株価はわからない
株価の上げ過ぎや下げ過ぎの判断材料に移動平均線乖離率を用いる投資手法があります。
移動平均線は、簡単に言うと株価の終値の平均をとって描いた線のことです。そして、移動平均線乖離率は、移動平均線から実際の株価がどれだけ離れているかという指標です。
移動平均線よりも実際の株価が高すぎれば、その株式を売ろうとする投資家心理が働きます。反対に移動平均線よりも実際の株価が低すぎれば、その株式を買おうという投資家心理が働きます。つまり、移動平均線があるべき株価を示すものと考え、移動平均線よりも株価が高いと過大評価、低いと過小評価と判断するのです。
しかし、移動平均線は、過去の株式の売買の記録でしかありませんから、企業価値を適正に表しているわけではありません。移動平均線からではあるべき株価を知ることはできないのです。
財務諸表を見てからチャートを見る
株式投資をする際には、まず、自分が買おうと思っている株式を発行している企業の財政状態や経営成績を把握することから始めなければなりません。どれだけの純資産があるのか、売上は安定しているのか、毎期しっかりと利益を上げているのか、こういった情報を財務諸表から読み取って、適正な株価がどれくらいかを判断するのです。
そして、前日の終値を見るなり、チャートを見るなりして、現在の株価や過去の値動きがあるべき株価に近い水準になっているかを確認するのです。
移動平均線乖離率を見て株式の売買を行うのは、競馬で例えると、過去のレース結果を見て5番がよく1着になっているから、そろそろ5番が負けるとか、最近のレースで3番が全然1着になっていないから次のレースは3番が勝つと言っているようなものです。
チャートを見ても、企業の業績なんてわかりません。