株式取引は売買を繰り返すほど期待収益率が悪化する

短期保有目的で株式取引を行う場合、長期投資と比較して、多くの銘柄を買うことになります。

昨日買った株式を今日売却し、次はどこの株式を取得するかを考える。このようなことを繰り返すのですから、売買する銘柄数が増えるのは簡単に理解できるでしょう。しかし、短期投資をしている人の中で、売買する銘柄が多くなると期待収益率が悪化する可能性があることに気づいている人は少ないと思います。

次に投資する銘柄は以前よりも期待収益率が低い

初めて株式を取得する場合、何を基準にして銘柄を選ぶでしょうか?

おそらく、多くの人が最も株価が上がりそうな銘柄を選んでいるはずです。最も損しそうにない銘柄を選ぶ場合もあるかもしれませんね。どちらの場合でも、最初に目を付けた銘柄が、その時点では最も魅力的な銘柄のはずです。

では、その最も魅力的な株式を取得し、株価が上がったのですぐに売却したとします。そして、返ってきた資金で新たに株式を買うとします。

次に選ぶのは、きっと今まで持っていた銘柄以外の株式になるのではないでしょうか?

最初にA社株式を買ったのなら、次はA社株式以外が選択肢となり、最終的にB社株式に投資することに決めたとなると思います。そして、B社株式を選んだ理由は、A社株式を買う時に検討した2番目に魅力的な銘柄だったからと言う人が多いはずです。

この投資行動は、客観的に見ると、今まで投資していた銘柄よりも魅力に欠ける銘柄に投資していることになり、以前よりも期待収益率が悪くなるとわかるでしょう。

売買を繰り返すほど選択肢がなくなる

B社株式を売却した後にC社株式を取得し、さらにC社株式を売却した後にD社株式を取得するという投資行動をとっていると、徐々に期待収益率は悪化していきます。

やがては、売却損が発生するでしょう。

A社株式ばかりを売買していれば期待収益率は悪化しませんが、それでも、株式を取得するタイミングや売却するタイミングが悪ければ損失が発生します。何より、同じ銘柄の株式ばかりを売買しようとは、なかなか思えないはずです。他にもっと魅力的な株式があるはずだと思うから、今保有している株式を売って探し回るのです。

しかし、最初に魅力的だと感じた銘柄以上に魅力のある銘柄を見つけ出せるでしょうか?

株式の売買を繰り返すことは、結果的に期待収益率を悪くしていきます。だから、長期保有が株式投資の基本と言われているのです。