公開会社が、自ら発行している株式を取得することを自社株買いといいます。自社株買いは、株式消却、ストックオプションなどの目的で行われますが、現在の株価が低いことを投資家に教えるために行われることもあります。
自社株買いで株価が上がる場合
自社株買いが行われると、株価が上がる傾向にあります。
例えば、純資産の時価総額が100万円、発行済株式総数が100株であれば理論上の株価は10,000円です。
- 1,000,000円/100株=10,000円
もしも、現在、その企業の市場での株価が8,000円だったとしましょう。そして、10株をその企業が市場で取得したとします。この場合、理論上の株価は以下のようになります。
- (1,000,000円-8,000円×10株)/(100株-10株)=10,222.22円
自社株買いの前との比較で理論上の株価が約222円高くなりました。このように理論上の株価よりも市場で形成される株価が低い場合に自社株買いを行えば、理論上の株価は、以前よりも高くなるのです。
株価が割安な場合に自社株買いは行われる
企業が、株式消却やストックオプションの目的以外で、自社株買いを行うのは、上の例を見ればわかるように市場で形成されている株価が理論上の株価よりも低いことを投資家に知らせるためです。
それに気づいた投資家は、その企業の株式を取得しようとしますから、株価は当初の8,000円から10,222円に向かって上昇します。そして、企業が自社株を売却した時点で、市場の株価は理論上の株価と一致します。
ただし、現実には市場の株価と理論上の株価が一致しないことはよくあります。
とりあえず、企業が自社株買いを行う場合は、市場での株価が理論上の株価よりも低いことを投資家に知らせているのだと覚えておきましょう。