財産が減らないだけありがたいと思えるかが資産形成には大事

資産形成にあたっては、利回りを重視すべきだという意見があります。同じ100万円を投資するにしても、年利1%よりも2%の方が有利な投資対象ですし、誰もが2%の投資対象を選ぶはずです。

しかし、投資は大きなリターンを求めるほど、元本が目減りする危険が高くなる傾向にあります。

多く儲けることばかりを考えない

リスクがあっても期待リターンが大きい対象に投資する人はいます。それは、その人の自由なので私がとやかく言う必要はありません。

でも、確実に資産を増やしていきたいと思うなら、多く儲けることばかりを考えない方が良いでしょう。控えめに控えめに財産が目減りしないだけありがたいと思う気持ちも大切です。

例えば、100万円が110万円になるか90万円になるか、五分五分の投資案件があったとします。この場合、期待できるリターンは100万円ですから、それなら、何もせずに普通預金に預けておいた方が多少なりとも利息を受け取れるので得です。

  • 110万円×50%+90万円×50%=100万円

個人は、高額の投資を何度もできませんから、一度失敗したら大きな損失を出す投資対象には手を出さない方が無難です。

試行回数を増やすから期待収益率に近づく

上で期待収益率の計算をしましたが、投資が期待収益率に近い成果を出すためには試行回数を増やさなければなりません。

例えば、100万円が110万円になる確率が60%、90万円になる確率が40%の投資対象であれば、期待収益率は2%ですから、この投資を何度も継続的に行えば得します。

  • {(110万円×60%+90万円×40%)-100万円}/100万円×100%=2%

しかし、個人が100万円を投資して、1回失敗すると90万円になり10万円の損失を出すことに耐えられるでしょうか?1回や2回であれば、笑って済ませられるかもしれません。でも、この後の投資が期待収益率通りの結果になったとしても、100万円の投資を10回続けなければ、損失の20万円を取り返せませんから、我慢強い人でなければ投資を継続するのは難しいでしょう。

上の例は、大したリスクのある投資ではありませんが、同じ期待収益率2%でも失敗する確率が90%くらいあるような投資だと10%の成功が訪れるまで待つのは、個人投資家では非常に厳しいです。

期待収益率通りの利益を得るためには、何度も試行を繰り返さなければなりません。しかし、試行回数を増やすためには、数多くの失敗に耐えなければなりませんから、どんなに期待収益率がプラスになる投資対象であっても、成功確率が低い場合には試行回数が増えるので、手を出すべきではありません。