世界中には、様々な投資対象があります。株式、不動産、貴金属、石油など、いったいどれだけあるのか数え上げることができません。
ローリスク・ローリターンの投資もあれば、ハイリスク・ハイリターンの投資もあり、リスクとリターンの関係を理解してから、これらに投資しなければ後で大きな損失を出してしまうこともあります。当然、安全な資産形成を行うのであれば、1回の失敗で元本が吹っ飛んでしまうモノには投資すべきではありません。
信用取引のレバレッジ効果
個人が安全に資産形成する場合、信用取引には手を出してはなりません。
信用取引とは、担保として証拠金を差出し、その証拠金の数倍の投資を行える取引のことです。例えば、100万円を証拠金として金融機関に差し出すと、その3倍の300万円の取引ができるというのが信用取引です。
仮に上記の信用取引でA社株式を300万円で取得したとします。1ヶ月後にA社株式の株価が400万円になっていれば、元本の300万円を差し引いた100万円が利益となります。差し入れた証拠金100万円と合わせて200万円が手元に戻ってきますから、100万円の元手が2倍になった計算です。
このように少ない元手で大きな取引をして、多額の利益を得ることをレバレッジ効果と言います。レバレッジは日本語でテコのことです。したがって、信用取引は少ない元本でも、テコを使って大きな取引ができますから、資金に余裕がない場合でも大きな成果を出せる可能性があります。
損失にもレバレッジが効く
しかし、レバレッジ効果は利益が出た時だけ働くのではありません。損失を出した時もレバレッジが効きます。
先の例でA社株式が200万円に値下がりしたとしましょう。この場合、300万円の取引をしていますから100万円の損失が発生します。この損失は事前に差し入れた証拠金で支払われますから、100万円の証拠金はゼロになり1円も戻ってきません。
100万円だけA社株式を買っていたら、株価が3分の2に下がっても67万円は戻ってきます。ところが、上の例でわかるように信用取引を行った場合、元本が1円も返ってこないことだってあるのです。
さらに信用取引の恐いところは、証拠金の100万円だけで損失が済まない危険があることです。
もしも、A社株式が100万円まで値を下げた場合、損失は200万円です。この損失は差し入れた証拠金100万円だけで穴埋めできませんから、追加でもう100万円を金融機関に支払う必要があります。
このように信用取引は元本が吹っ飛ぶリスク、元本以上に損失を出して追加でお金を支払わなければならないリスクがあるのです。安全な資産形成をするのなら、絶対に信用取引には手を出してはなりません。