輸入も輸出もしてないのにFXをするのは投機

外国為替証拠金取引(FX)でも、為替予約でも、通貨オプションでも、本来は貿易を仕事にしている企業が利用するものです。もしくは、個人輸入の代行業をしている個人事業主や海外のネットオークションに出品している個人など、海外の取引先との間で資金決済が発生する場合に利用します。

しかし、インターネットの普及もあり、貿易とは一切関係のない個人までFXに手を出すようになりました。個人がFXをするのは単なる投機であり、資産形成でも投資でもありません。

デリバティブは不測の事態に備えるもの

そもそも、FXのようなデリバティブ(金融派生商品)は、将来の不測の事態に備えるために利用するものです。

海外に商品を輸出している企業であれば、売掛金の回収までに為替相場が円高になっていると何もしなくても損失が発生します。だから、外貨建売掛金の為替相場の変動をなくし、事実上、固定相場にしてしまうためにFXや為替予約をするのです。

外貨建売掛金は円高になると損しますから、反対にFXや為替予約では、円高になると得する約定をしておきます。そうすれば、外貨建売掛金から発生した損失とFXや為替予約から発生した利益を相殺でき、事実上円貨で取引したのと同じ結果を作り出せるのです。

輸入も輸出もしていないのに為替リスクを負う理由はない

輸出入を仕事にしている場合には、生活がかかっていますから、為替リスクを少しでも減らしたいという気持ちがあって当然です。海外の取引先との資金決済を全て円貨で行えば為替リスクは発生しませんが、全ての取引でそのようなことができるとは限りません。

そこで、FXや為替予約を使ってリスクヘッジするのです。本来、デリバティブとは、このように利用するものです。

しかし、個人投資家が海外と取引をしていないのにFXに手を出すのは、意味のないリスクテイクです。もはや投機でしかありません。もっと言えば、公営ギャンブルを投資だと言ってるのと同じなのです。

今からFXを始めようと考えている方は、自分が海外と取引していないのであれば、手を出すべきではありません。資産形成の手段はFXだけではありません。

短期間に多くのお金を手に入れようとするのではなく、時間をかけてコツコツと資産を積み上げていくことを考えましょう。