長引く不景気。このままでは給料も増えそうにないし、老後資金にも不安がある。年金もどうなるかわからない。だから、自分の力で資産形成すべきだ。
こういった言葉をよく耳にします。好景気になれば、給料も増えますし、老後資金にも困ることはないでしょう。年金だって安定してもらえるはずです。しかし、不景気の時代には、働いても給料が増えにくいです。だから、不景気の時こそ株式投資をして資産形成しなければならないと主張する人が出てきます。
好景気の時は誰でも株式投資で儲かる
株式投資で成功しやすいのは、好景気の時です。景気が良ければ、どの企業も毎年のように増収増益になります。そして、それに従って株価も上昇します。
だから、好景気の時は、何もわからない株式投資の初心者でも成功しやすいです。
財務諸表なんて見たこともないという人でさえ、高確率で株式投資に成功できるのが好景気の時です。企業だって、作れば売れる、仕入れれば売れる時代であれば経営努力なしに増収増益が可能です。
このように考えれば、株式投資に最も適した時期は好景気の時だとわかるでしょう。
不景気の時は企業が成長しにくい
しかし、不景気になれば、作っても売れない、仕入れても売れない状況になります。そして、企業は、どのような物であれば売れるのかを調査し、無駄な在庫を抱えないように慎重に製造活動や仕入活動を行います。
でも、そのように慎重に行動しても、売れ残りは発生します。在庫が増えれば、企業のキャッシュ・フローに悪い影響を与えますから、運転資金でさえ借入で賄わなければならなくなり、その利息負担で利益が削られます。
赤字を出せば純資産が減りますから、それに従って株価も下がります。不景気の時は、赤字に陥る企業が増えますし、黒字であっても好業績と言えるほどの利益を上げるのは難しいです。
このように考えれば、不景気に株式投資をするのは危険だとわかるはずです。それなのに不景気の時こそ株式投資で資産を増やすべきだと語る人を果たして信用しても良いものでしょうか?