為替相場の変動と株価の変動には関係があります。必ずしも為替相場の変動に合わせて株価が動くわけではありませんが、為替相場が大きく動けば、その影響が株価に及ぶことはよくあります。
特に為替相場が円高に進むと、日本企業の株価は下落する傾向があります。
多くの日本企業の収益は輸出に依存している
多くの日本企業は、輸出で大きな収益を上げています。これが、為替相場が円高に進むと日本企業の株価が下がりやすい理由です。
例えば、1ドル=120円の時に10ドル分の製品を輸出すれば、売上は1,200円です。しかし、円高が急激に進み、1ドル=100円になった時に売掛金を回収すると1,000円しか入ってきません。販売時との比較で収益が200円減ったことになります。
日本経済が日本企業の輸出を中心に成り立っている場合、円高は、日本経済全体の収益を悪化させる原因となります。だから、円高が進むと、日本企業の株式が売られて日経平均株価が下がるのです。
為替相場がどう動くかはわからない
日本企業の株式に投資して資産形成をしようとすれば、将来の為替相場の変動も重要になってきます。だから、将来の為替相場が円高になるのか円安になるのか予測して株式取引をしなければならないと言われます。
しかし、為替相場が、将来、どのように動くかは誰にもわかりません。
貿易だけで為替相場が動いているのなら、日本からアメリカ向けの輸出が増えれば円高が進み、アメリカからの輸入が増えれば円安に進むと予測できます。ところが、為替市場は、9割が投機目的での取引で成立していると言われていますから、貿易とは関係のないところで為替相場が決まっています。このような状況で、将来の為替相場を予測するのは厳しいでしょう。
為替相場は、円高か円安かの2択ですから適当に予測しても50%の確率で言い当てることはできます。しかし、根拠を持って円高になるか円安になるかを予測するのは極めて難しいのです。
為替相場が日本企業の株価に影響を与えるのは確かです。しかし、長く続く企業であれば、収益や利益が何度も為替相場の変動リスクにさらされ、それを克服してきていますから為替相場を意識し過ぎる必要はないでしょう。
大切なのは、その企業が外部環境の影響にどう対応してきたかです。それは、個々の企業の有価証券報告書を見て把握しなければなりません。