投資信託でよく見かける投資方法にドルコスト平均法があります。
ドルコスト平均法とは、毎月の投資金額をあらかじめ決めて投資するもので、時価が高い時は投資口数は少なくなり、時価が低い時は投資口数が多くなります。値動きがある投資対象なら、株式でも債券でもドルコスト平均法によって投資可能です。
ドルコスト平均法は、時価が高い時は投資を手控え、時価が低い時は多く投資するので、平均取得原価を低くできる優れた投資方法だと言われています。
ドルコスト平均法の具体例
今、A投資信託に毎月1万円ずつ投資するとしましょう。A投資信託の毎月の単価は以下の通りだったとします。
- 4月:1,000円
- 5月:1,250円
- 6月:2,000円
- 7月:2,500円
この場合、毎月10口ずつ投資する場合とドルコスト平均法で投資する場合の平均取得単価を計算すると以下のようになります。
毎月10口投資
- 4月:1,000円×10口=10,000円
- 5月:1,250円×10口=12,500円
- 6月:2,000円×10口=20,000円
- 7月:2,500円×10口=25,000円
- 合計:40口、67,500円
- 平均:1,687.50円
ドルコスト平均法
- 4月:1,000円×10口=10,000円
- 5月:1,250円×8口=10,000円
- 6月:2,000円×5口=10,000円
- 7月:2,500円×4口=10,000円
- 合計:27口、40,000円
- 平均:1,481.48円
この例を見れば一目瞭然ですね。
毎月同じ口数を投資する場合の平均取得単価は1,687.50円、ドルコスト平均法の平均取得単価は1,481.48円ですから、206.02円だけドルコスト平均法の方が平均取得単価が低くなっています。
時価が上昇し続けている場合はドルコスト平均法は不利
では、8月に時価が3,000円になり、持っている投資信託全てを売却したとします。この場合、毎月10口ずつ投資とドルコスト平均法の利益を計算すると以下のようになります。
- 毎月10口投資の利益=3,000円×40口-67,500円=52,500円
- ドルコスト平均法の利益=3,000円×27口-40,000円=41,000円
この例のように時価が上昇局面にある場合、ドルコスト平均法は、毎月少しずつ投資口数を減らしていくため、取得する総口数が相対的に少なくなります。つまり、ドルコスト平均法は、時価が上がっていく有利な局面にあるにもかかわらず、投資を手控える結果となるため、毎月一定口数を取得する投資手法よりも利益が少なくなるのです。
もしも、時価が下降していく局面だとどうでしょうか?
この場合も、時価が上昇していく局面と同じようにドルコスト平均法は不利になります。時価の下降局面では、相対的に多くの口数に投資するため損失が膨らむのです。
では、ドルコスト平均法は毎月一定口数を投資するよりも必ず不利な結果になるのかと言うと、そうではありません。時価が上がったり下がったりを繰り返している場合には、一定口数に投資する方法よりも有利になります。
ドルコスト平均法は、金融機関にとっては顧客が毎月一定額を投資してくれるので、ありがたい投資方法だと言えます。でも、投資する顧客にとっては、値動きによって有利になったり不利になったりするので、必ずしもすぐれた投資方法とは言えないことを知っておきましょう。