クラウドファンディングは投資先の評価が難しいのでリスクが高い

最近、あるクラウドファンディングで一騒動ありましたね。そのクラウドファンディングは、仮想の株式のようなサービスで投資先の価値が上がると出資の価値も上がり、転売して利ザヤを稼げるといったものです。

一見すると、一般的な株式取引と同じように思えるのですが、現在のクラウドファンディング全体に言えるリスクがあります。

投資先を評価する物差しが乏しい

現在のクラウドファンディングには、投資先を評価する物差しが従来の株式取引よりも少ないです。

上場会社であれば、有価証券報告書を毎期作成し公表しているので、投資家は会社の業績を把握し、将来の業績や株価の動きを予測できます。もちろん、将来予測は投資家によって異なりますし、必ず予測通りの業績になるわけではありません。株価も思い描いたように上昇するとは限りません。

でも、株式市場では、会社の業績を評価する手段として有価証券報告書が用意されていますし、そこに掲載される財務数値は公認会計士の監査を受けたものなので信頼性が高いです。また、インサイダー取引などの不正を監視する仕組みもありますから、投資家は不正をしたくてもなかなかできない状況となっています。

つまり、現在の株式市場では、公正な取引を行える仕組みができており、誰もが安心して株式の売買をできるようになっているのです。

クラウドファンディングには不安要素が多い

一方でクラウドファンディングの場合はどうでしょうか。

投資先が、しっかりと財務諸表を作成して公表しているでしょうか。その財務諸表は第三者のチェックを受けているでしょうか。私がクラウドファンディングのサービスサイトを見た感じでは、株式市場のような安心感はないように思えます。

投資家は、投資先が一方的に発表した情報を頼りに投資するかどうかを決めなければならないように見えますし、インサイダー取引のような不公正な取引を監視する仕組みがあるのかどうかもわかりません。

今回のクラウドファンディングの事件では、仮想の株式が高騰したところを見計らって寄付を集めていた投資先が手持ちの株式を売り切ったのではないかとされています。その株式の高騰も風説の流布によって上がったのではないかと考えられています。

上場会社の株式を買うかどうかは、証券市場の仕組みを信頼して行います。しかし、クラウドファンディングには、現在の証券市場のような信頼性はありませんから、投資するかどうかは、投資先の個人や企業を信頼して判断しなければなりません。個人や企業代表者と面識があれば、信頼できるかどうかを確かめられますが、インターネット上のプロフィール内容だけで有価証券報告書並みの情報を集めることは不可能でしょう。

難病で苦しむ人を救いたいからクラウドファンディングを使って寄付するというのならわかりますが、資産形成を目的にクラウドファンディングを利用しようと考えているのなら、まだ静観しておくのが無難だと思いますね。