長期投資は証券会社の利益にならない

証券会社が儲かるとはどういうことでしょうか?

証券会社は、投資家から株式や投資信託の売買の際に手数料を得ています。だから、証券会社の利益は、投資家から受け取る売買手数料からなると考えられます。

ここで、毎日のように株式の売買をしている投資家と最初の株式取得から10年間まったく取引をしていない投資家がいたとします。証券会社にとってうれしい顧客はどちらですか?

売買を繰り返してもらわないと困る証券会社

もちろん、毎日のように売買を繰り返している投資家の方が、証券会社にとってはうれしい顧客です。デイトレーダーのような投資家ですね。

短期売買を繰り返していると、証券会社に何度も手数料を支払わなければなりません。1回の取引での手数料が数百円だったとしても、10回、20回と取引すれば、数千円、数万円となり、運用益を圧迫していきます。

最近では、1日定額制の手数料を打ち出している証券会社もありますが、これがお得だと思っている人は長期投資に向いていないでしょうね。

証券会社が手数料収入に頼る収益構造になっている限り、短期的に売買を繰り返す投資家がいてくれないと困るのです。

証券会社に嫌われる投資家ほど運用効率が良い

投資の運用効率を良くする簡単な方法は、売買手数料を少なくすることです。

100万円の株式を取得して105万円で売却すれば運用益は5万円です。手数料が2千円発生したとすると、正味4万8千円の運用益ですから利回りは4.8%です。

100万円で取得し101万円で売却する取引を5回行った場合も運用益は5万円です。しかし、2千円の手数料が5回発生するので、合計の手数料は1万円になります。したがって、正味の運用益は4万円ですから利回りは4.0%です。

こうやって比較すれば、効率の良いのは売買の回数を少なくすること、すなわち長期投資だと気付くでしょう。しかし、長期投資家ばかりになると証券会社は利益が減って困ります。

でも、証券会社にとって嫌な顧客になることが、投資効率を良くすることになるのです。