株式投資で、株価チャートの動きを見て、株式を買うべきか売るべきかを判断する投資手法をテクニカル分析と言います。多くの個人投資家は、このテクニカル分析で株式投資の判断を行っています。
しかし、テクニカル分析でわかるのは過去の値動きだけです。過去の値動きは、将来の企業の業績には一切影響を与えませんから、普通に考えれば、将来の株価とも無関係です。
投資家心理には影響を与える
過去の株価の動きが将来の企業業績に影響を与えない以上、株価チャートを分析しても意味はありません。
それなのに株価チャートを見て投資判断をする個人投資家が多いのは、なぜでしょうか?
一つには、財務諸表を分析する能力がないことが考えられます。財務諸表を読み込めるようになるには、それなりの時間勉強しなければなりません。多くの個人投資家が会計学の勉強をせずに株式投資を始めますから、財務諸表を分析したくても分析できません。
でも、テクニカル分析であれば、誰でも簡単にできます。一定期間、株価が下がり続けていれば買いだとか、ただ株価チャートの動きを見るだけで投資判断をしますからとても簡単です。
財務諸表を読めない個人投資家が多く株式市場に参入していれば、過去の値動きが将来の株価に影響を与えるようになります。テクニカル分析を解説した本を見て、そこに書いてあるような値動きをすれば、誰もが買いに走ったり、売りに走ったりするからです。つまり、株価チャートは、将来の企業業績には影響を与えませんが、投資家心理には影響を与えるので株価の変動をもたらすのです。
株価チャートを見ることに大した意味はない
株価は、最終的に企業の業績に影響を受けます。極端な話、今、ある上場企業が倒産すれば、その時点で株価は限りなくゼロに近づきます。倒産すれば企業価値はゼロとなりますから、倒産という事実が世の中に知れ渡れば株価もゼロに向かって下がっていきます。
株価チャートを見たところで、企業の業績を把握できないのですから、企業価値を知ることもできません。株価チャートを見ることに大した意味はないのです。
ただ、心理ゲームを楽しみたいのであれば、株価チャートを見て株の売買をすれば良いでしょう。しかし、資産形成を念頭に置いて、株式投資をするのであれば財務諸表を分析できるようにならなければなりません。